恋とは、どうしてこうも難しいのだろうか。

せっかく素敵な出会いをしても、相手に「また会いたい」と思わせない限り、デートにも交際にも発展しない。

仮に、順調に駒を進められても、ある日突然別れを突き付けられることもある。

しかし一見複雑に絡み合った恋愛でも、そこには法則があり、理由がある。

どうしたら、恋のチャンスを次のステップへ持っていけるのか、一緒に学んでいこう。

今回は会いたいと連絡は来るのに進まない関係の謎という宿題を出していた。

あなたはこの宿題が解けただろうか?




私が慎吾と出会ったのは、友達の百合と飲んでいた時に声をかけられたのがキッカケだった。

とはいえ慎吾は何もしておらず、彼の友人が百合を熱心に口説いていた。言うならば私たちは、傍観者だったのだ。

「ごめんね、僕の友人強引だから。ちなみにお名前は?」
「奈緒です。私も、お名前聞いてもいいですか?」
「あ、僕は慎吾って言います!」

だがこういう場合、案外この“蚊帳の外”の二人の方がうまくいくという不思議な法則がある。

最初、私は全く乗り気ではなかったが、話しているうちに彼の人の良さがわかってきた。そしてその場で連絡先を交換し、気がつけば二人で食事へ行く約束までしていたのだ。

最初のデート以降、私たちはこまめに連絡を取り合っている。特に、私は夜中に彼に連絡することが多い。

彼のことが好きかどうか?

それは、私の行動を見ていれば答えが分かるはずだ。


連絡を頻繁に取るのに進まない関係。そんなとき、女性は何を考えている?


解説1:見込みがないなら、傷つきたくないから早々に諦める


最初に二人で食事へ行ったのは、出会ってから2週間後だった。

慎吾は、前から気になっていた店『AELU&BRODO 〜EBISU〜』を予約してくれていた。

二人きりで会うと、彼は意外に真面目な感じがして、想像を軽く裏切られる。見れば見るほどいい男だし、店選びのセンスもいい。独身なのが不思議なくらいだ。

「慎吾くんって、もっとチャラチャラしてるのかと思ってた。今本当に彼女いないの?」

実はこの時、私は慎吾に対して既に好意を抱いていた。

そもそも、少しでも“いいな”と思わない限りこうやって二人で食事もしないし、連絡だって返さない。

この先何か発展するかもー。はじめ私は、そんな淡い期待を抱いていた。だが、慎吾は全くその気がなさそうだった。

「全然チャラついてないよ〜。それに本当に、今は彼女いないし。いい人絶賛募集中!奈緒ちゃんは?男が放っておかないでしょ?」

-いい人絶賛募集中・・・!?それって、私は入っていないのかな?

ひとりで盛り上がっていたのが馬鹿みたいで、思わず強気な発言をしてしまう。

「私も半年前に別れて以来、いないんだよね〜。誰かいい人いないかなぁ」

目の前に慎吾がいながら、こんなこと言うのはデートの正解ではないことは重々承知している。

でも、こちらだけ一生懸命な感じになるもの嫌で、つい私は慎吾に興味のないフリをしてしまったのだ。

-あぁ〜もう!なんで素直になれないんだろう!

そう思いつつ、目の前のシャンパンを一気に飲み干した。こういう時に、素直になれない自分の性格を恨めしく思う。




そんなことを考えているうちにどんどんデートは進んでいく。そして、お互いの趣味や週末の過ごし方についての話になる。

「奈緒ちゃんは、映画とか好き?今度良ければ見に行かない?」
「いいね〜私気になっている映画があるから、今度行こうか。ちなみに、いつも休みの日は何してるの?」
「家のことをしたり、後はフットサルとかかなぁ」

慎吾と話していると楽しくて、あっという間に時間が過ぎていった。だけどその一方で、恋愛対象というよりも、仲の良い友達と話しているような感覚に段々なっていく。

-彼にとって、私はただの友達枠なのかなぁ。

結局この日のデートは、必要以上に距離を縮めることもなく、いわゆる男と女のムードは皆無だった。

しかし、ここから私たちはLINEでのやり取りを続けていく。別に大した用事もないのに向こうから連絡が来るし、私も時間がある時は何となく慎吾にLINEを送るようになっていた。

けれども、いつまでたっても彼からのデートの誘いは来ない。かといって、私の方からデートに誘って玉砕するのも嫌だ。

考えれば考えるほど誘いづらくなるが、やっぱり慎吾に会いたいと思った。まだ彼がどんな人か掴めていないし、せめてあと何回か会ってみたい。

だから私は、とある行動に出たのだ。


夜中に“会いたい”と送ってくる女の真意とは!?


解説2:好意はアリ。同時に、男性からあと一押し欲しいサインでもある


その日は表参道で女友達とご飯を食べていたのだが、時刻を見るとまだ22時だった。金曜のこの時間、家に帰るには早すぎる。

私は迷わず、慎吾にLINEを送った。

-奈緒:慎吾くん、今何してるの?

会えないかなぁ、と思いながらLINEを送っている自分に気がつき、思わず笑ってしまう。

-慎吾:今恵比寿で会社の人たちと飲んでるよ〜奈緒ちゃんは?
-奈緒:私も今友達と表参道で飲んでて。会いたいから今から一杯飲まない?

ちょっとお酒の力を借りると、なんだか気持ちが大きくなって、いつもだったら素直に言えないことも難なく言えてしまうのはどうしてだろうか。

その後、慎吾から返信が来たため、私たちは恵比寿にある『BAR TRENCH』で一杯飲むことになった。




以前、先輩に連れてきてもらったこのバーは、海外の方も多く、且つここでしか飲めないようなカクテルも豊富にある。今日みたいにさっくり飲みたい日にはぴったりのお洒落なバーだ。

先に着いたので一杯飲んで待っていると、慎吾はとびきりの笑顔でやってきた。

「慎吾くん、こっちこっち!」
「ごめんね、待たせちゃって」

そんな当たり障りのない会話から始まったものの、結局この日も男と女を意識させるような雰囲気は一切なく、何の進展もない。

-いい人なんだけど、慎吾は私のこと、何とも思ってないのかなぁ?

そんな疑問がムクムクと湧いてきて、私はまた彼の気持ちが分からなくなっていく。モテるだろうし、彼にとって私はその他大勢のひとりに過ぎないのかもしれない。

そうかといって、自分から猛プッシュするほど彼への思いが募っている訳ではない。

好きか嫌いかと言われたら好きなのだが、向こうが押してきてくれたら靡くという感じで、相手の出待ち状態なのだ。

だから自分から誘ってチャンスを作ってはいるけれど、そこから一歩、自らグイッと進めるほどの気持ちの盛り上がりはまだない。

「遅くからありがとう〜また飲もうね♡」

何か言いたげな慎吾をよそに、手を振ってタクシーに乗り込む。

-彼の方から、ぶつかってきてくれればいいのになぁ。

そう思いながら、私はタクシーの窓を開け、冷たい空気を肌で感じた。

女が金曜22時に“会いたい”と連絡をする時。その男性に対して女性が思っていることは、

1.奢ってくれそうな人
2.気になっている人
3.無害な男友達

以上の三択の、いずれかである。

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どうやったら“友達枠”から抜け出せる?