<乱立する未来予想図が全て実現すれば、わずか2年後に世界が激変して人類は新しい時代に突入する(かも)>

今からわずか2年後の2020年、人類の新しい時代が幕を開ける......かもしれない。その頃、あなたは配車サービスのウーバーで「空飛ぶタクシー」を呼んでホテルに向かい、ロボットのベルボーイのおもてなしを受けるだろう。

ただし、あなたはおそらく失業中で、憂さ晴らしに一杯やろうにも、新発売の薬のせいでアルコールがただの水のように感じられるだろうが......。

「2020年までに××が実現する」――そんな予測が近頃やたら目につく。キリのいい数字が並ぶ年でもあるし、未来といってもそう遠くない未来だから、予測が信憑性を帯びるせいだろうか。企業や業界団体、政府機関から訳知り顔のアナリストまで、誰もが2年後に世界が一変するかのようなご託宣を垂れている。

特に目につくのは交通システムに関する予測だ。交通技術は今、飛行機の発明以来の大転換を遂げようとしている。

自動運転車関連の技術は202年をめどに、どっと実用化されそうだ。ホンダは20年には高速道路での自動運転走行を実現すると発表。ルノー日産も、20年までに10車種以上の自動運転車を発売する計画だ。

冷蔵庫が家庭教師に?

ゼネラル・モーターズや現代自動車をはじめ、ほぼ全ての自動車メーカーが20年までに何らかのレベルの自動運転車を実用化する方針を打ち出している。ニューヨーク州当局は自動運転車の普及を見据えて、有料道路の料金所を廃止し、別の課金方法を検討するという。

SFのような話も真顔で語られている。ウーバーはヘリコプター製造大手ベル・ヘリコプターと提携し、ダラス、ロサンゼルス、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで20年までに空飛ぶタクシーの試験飛行を行う予定だ。

トヨタは今年1月、オフィスや店舗になる自動運転車を発表。20年までに実証実験を始めるという。例えば靴店が自宅まで来てくれたら、何足でも試し履きできて返品の手間も要らない。

バカンスも様変わりし、2年後にはロボットのおもてなしを受けることになりそうだ。ホテルコンサルタントのディーン・ミネットによると、優良ホテルは軒並みロボットのベルボーイを導入するという。チップなしで済む点は旅行者にも喜ばれるだろう。既にヨーテル・ニューヨークのように、ロボットが客の荷物を預かるホテルもある。

[2018.2.20号掲載]

ケビン・メイニー(本誌テクノロジーコラム二スト)