「国際Aマッチ」って、そもそも何だ?あなたはちゃんと説明できるか

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8月末から9月にかけ、世界各地で行われたワールドカップ予選。

アジアでは3次予選が終了となり出場4チームが決定し、ヨーロッパでもベルギーが本戦への切符を最初に掴んだ。今年は10月と11月にも代表戦が予定されており、ワールドカップ予選や国際親善試合が開催となる。

さてそんな代表戦だが、日本では一般的に「国際Aマッチ」と表記されている。

サッカーファンにとってはお馴染みの言葉だが、意外にも正しく定義するのは難しいかもしれない。そもそも「A」とは何なのだろうか?親善試合は国際Aマッチ扱いになるのだろうか?

そこで今回は、知られているようで実は曖昧になっているこの言葉について紐解いてみよう。

1. 「国際Aマッチ」の定義とは

いきなりで恐縮だが、まず最初に国際Aマッチ(International "A" match)の定義をご紹介する。

日本サッカー協会の公式サイトでは、以下のように説明されている。

FIFAが認定する、その国の年齢制限のない代表チーム同士で争う試合です (FIFAワールドカップやAFCアジアカップなどの公式戦のほか、国際親善試合や強化試合も含む)。

日本代表以外のクラブチームや各カテゴリー別の国際大会(例:女子代表やU-23日本代表、U-20等の他のカテゴリー代表の国際試合)は国際Aマッチとは言いません。

一言で言うと、国際Aマッチとは「年齢制限のない代表チーム同士の試合」である。

国際Aマッチというと、どこかワールドカップやアジアカップ予選といった試合だけが対象になりそうなイメージだが、そんなことはない。キリンカップなどの国際親善試合も国際Aマッチに該当する。

重要なのは、あくまでも「年齢制限がない代表チーム同士であるか」という点だ。

したがって昨年5月、リオ五輪に向けた強化試合としてU-23日本代表がガーナ代表と対戦したが、この一戦は国際Aマッチという扱いにはならない。国際Aマッチの"A"とは、年齢制限がないという意味だったのだ。

また、どちらか一方の代表チームがFIFAに未加盟だった場合も国際Aマッチ認定を受けない。つまり、2016年5月にFIFA加盟が承認されたコソボ代表がそれまでに行ってきた国際親善試合は、Aマッチという扱いにならないことになる。

これらの定義に従えば、2000年以降に日本代表が行ってきた試合はほとんどが国際Aマッチにあたる。

しかし、2002年に開催されたレアル・マドリーとの親善試合や東日本大震災の発生直後に行われたJリーグ選抜とのゲームは例外ということになる。

日本代表の最多出場記録を持つ遠藤保仁はJリーグ選抜との試合に出場しゴールまであげているが、この試合記録は「152試合」という国際Aマッチ出場試合数にカウントされないのだ。

国際Aマッチの定義はこんなところだ。

2. FIFAが定める「国際Aマッチデー」との関係

次に気になるのは、「国際Aマッチデー」との関係性だ。

サッカーファンはご存知の通り、FIFAは一年に数度、国際Aマッチデーというものを設けている。普段はクラブチームの制約下に置かれる選手を、代表チームが招集し拘束できる期間のことだ。

この時、基本的にクラブチームは代表チームからの選手の招集を断ることができない(その選手が怪我を持っている場合など例外はある)。

いわば、代表チームがクラブチームに制約されることなく自由にメンバーを招集できる期間であり、そのためワールドカップ予選などの公式戦が組まれているというわけだ。

なお、2015年からFIFAのカレンダーは変更になっており、現在では偶数年と奇数年の2年間で合計18試合が行われる(ワールドカップやEUROなどの選手権を除く)。これが国際Aマッチデーの正体である。

しかし、国際Aマッチは国際Aマッチデー以外にも開催することができる。

実際、日本代表は2014年ワールドカップ直前にコスタリカ、ザンビアとそれぞれ対戦しているが、この日は国際Aマッチデーの指定日ではなかった。

また、今年12月には日本でEAFF E-1フットボールチャンピオンシップ(旧東アジアカップ)が行われるが、この月はFIFAのカレンダーで国際Aマッチデーに指定されていない。

しかし、この大会は「年齢制限のない代表チーム同士の試合」であることから、FIFAの見解では国際Aマッチという扱いを受けることになる。

もちろん、国際Aマッチデー外の試合ということで、秋春制を採用する欧州リーグなどからは選手の招集を見込めない。おそらくは、天皇杯とクラブワールドカップに出場していないJクラブからの選出が基本になるだろう。

それでも、このEAFF E-1フットボールチャンピオンシップでの出場試合数は、国際Aマッチの出場試合数としてカウントされる。

また余談だが、国際Aマッチにおける出場試合数のランキングを見てみると、エジプトやサウジアラビアなどの選手が目立つが、これらの地域では国際Aマッチデー以外にも試合が開催されており、そうした条件がランキングに関係しているようだ(最多出場記録はアハマド・ハッサンが持つ184試合)。