子どもの新学期がスタートして2カ月。保護者会の役員会・懇親会・親睦会と集まりも増えるにともない、実は「参加したくない」「なじめない」--かといって「仕事が忙しいから」などと役職を断ったら、総スカン、炎上すること間違いなし。そんなママたちの悩みが急増する季節。
 
「PTAやママ友の集まりが苦手なのは、あなただけではありません。それはズバリ、脳の処理能力の問題です」
 
そう断言するのは、『なぜ僕は、4人以上の場になると途端に会話が苦手になるのか』(サンマーク出版)の著者で、脳と行動の関係を研究する行動分析士の岩本武範さんだ。岩本さんは、娘さんが交通事故に遭い脳を損傷したのをきっかけに、脳の仕組みを独学で研究。独自のリハビリメソッドを開発し娘さんの脳を回復に導いた。この脳活をマーケティングにも応用したところ、手がけたスーパーのある商品の売り上げが7倍に伸びるなど業績が上がり、今注目されている。
 
「商品調査のために主婦の女性に集まってもらったとき、3人の場合は笑顔で話せていますが、なぜか4人以上に人が増えるにつれて、皆さん口数が減り、うつむいていくんです。人間の脳は、選択肢が増えると処理が追いつかなくなります。その境が3と4だと気がつきました」
 
岩本さんは、4人以上の集まりでは「2番手を目指せ」と語る。
 
「この場合1番手とは、集まりの中で、もっともよく話をする人をさします。3番手は、口数が少ないが1番手への憧れがある。最も口数の少ない4番手は自分の意見が言えず、みんなの記憶に残りません。グループで自分からガツガツ話さないけれど嫌われず、1番手からも信頼され話を振ってもらえるのが2番手です。この会話の“パス”が集まる2番手を目指しましょう。役割は、1番手のパスを受けたら、別の人にパスを出し話をつなぎ会話を広げることです」
 
サッカーの中盤のミッドフィルダーのように自分のゴールよりも仲間にボールを「つなぐ」。これを会話に応用する。まず1番手から「話を振られる」必要があるが、これにはコツがある。
 
「まず大事なのは座る場所です。脳は左からの情報を取得しやすく、そして人は左から右へと視線を動かします。1番手から見て左側に座ることで話を振られやすくなります。そこに座れなかった場合は対角線上に座ること。NGは1番手の真横。特に右横は、1番手の視界に入らないんです」
 
グループで話す準備ができている人を見分けるコツも。
 
「もじもじ体が動いていたり、ペンを回したり、髪や顔に手をやっている人です」
 
そうはいっても、私に2番手は無理!という人には……。
 
「まずは4番手でもいいから、そこから始めましょう。話を振られたら、まず『そうなんですね』『そういう意見もあるんですね』と一言、発話を目指す。これはその場に『同調』している意思表示になります。一言、言葉を発するだけで、脳は動き出し、次にはもう少し話しやすくなる。4番手から次は3番手、そして2番手と変化していきましょう」
 
もし、誰もが無言だった場合も、「頑張らない」ことだ。
 
「間ができて不安になってもムリに『話さなきゃ』としないことです。いったん、化粧室などに席を外す、窓を開けて風を入れるなどでも、場の空気が変わりますよ」
 
苦手なPTAやママ友の集まりをこれで克服してみよう。