「パトカーの待ち伏せ時の駐禁は? 速度違反は?」など緊急車両の交通ルールとは

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緊急走行時でも速度違反で罰せられたパトカーも!

パトカーや白バイは、公安委員会が指定した緊急自動車の一種になる。緊急自動車とは、「消防用自動車、救急用自動車その他の政令で定める自動車で、当該緊急用務のため、政令で定めるところにより、運転中のもの」のこと(道路交通法39条)。

この緊急自動車を、緊急の用務のため運転するときは、サイレンを鳴らし、かつ、赤色の警光灯をつけるというのが、基本ルール。一部の例外を除き、赤色灯をつけず、サイレンを鳴らしていないときは、一般車両と同じ交通ルールが適用される。

一方で、緊急自動車が、緊急の用務のため、赤色灯をつけ、サイレンを鳴らして走る場合、さまざまな制約が適用外となる。たとえば、一番気になる最高速度は、一般道では80km/hまでと上限が引き上げられている。

ただし高速道路では100km/hまでと一般車と同じ。過去にはパトカーが、赤色灯を回してサイレンを鳴らした状態で速度超過でオービスに撮影され、その正当性が認められずに道交法違反で書類送検された例もある。ただし、速度違反の車両をパトカーなどが取り締まる場合などには、この限りではない。

その他、道路交通法の下記の各条も、特例として適用が除外される。

第八条第一項(通行の禁止等)

第十七条(通行区分)第六項(通行禁止部分)

第十八条(左側寄り通行等)

第二十条(車両通行帯)第一項及び第二項

第二十条の二(路線バス等優先通行帯)

第二十五条(道路外に出る場合の方法)第一項及び第二項

第二十五条の二(横断等の禁止)第二項(指定横断等禁止)

第二十六条の二(進路の変更の禁止)第三項(道路標示)

第二十九条(追越しを禁止する場合、二重追越し)

第三十条(追越しを禁止する場所)

第三十四条(左折又は右折)第一項、第二項及び第四項

第三十五条(指定通行区分)第一項

第三十八条(横断歩道等における歩行者等の優先)第一項前段及び第三項(横断歩道等に接近する場合の減速、手前での追抜き禁止)

道路交通法第41条の定め)

ときどき、パトカーが赤色灯をつけずに、待ち伏せで駐車しているのを見かけるが、あれは駐車禁止にならないのだろうか?

前記のとおり、緊急自動車とは、『運転中のもの』というのが条件なので、パトカーであっても赤色灯の点灯消灯にかかわらず、駐車禁止エリアでの駐車は基本的にアウト。ただし、都道府県の条例で、パトカーや消防車、救急車などの駐車禁止の除外を定めている例も多い。

これらは、捜査や交通取締り、消防作業、人命救助、公共作業などをしているクルマを対象にしているので、前記の目的に限り、マイカーであっても、駐車禁止の適用外になることもある。

また、緊急自動車である警察用自動車に誘導されている自動車は、赤色灯やサイレンのないマイカー等であったとしても緊急自動車とみなすことになっている(道路交通法施行令13条2項)。

その他、自衛隊の車両、JAFのレッカー車、NEXCOなどの高速道路の管理車両、電気、ガス、水道、鉄道会社などの車両にも、緊急自動車として認められているクルマがあるので覚えておこう。

(文:藤田竜太)