同じ排気量で、自然吸気に比べて高い馬力を出す自動車のターボエンジン。一時期、燃費悪化の要因として敬遠されていたが、「エンジンを1回り小さくしてターボを付け、従来と同等のパワーを出し、燃費も向上させる」というダウンサイジングの発想へと転換したことで、近ごろターボエンジンを積んだ登録車が、日本でも増えてきた。(イメージ写真提供:123RF)

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 同じ排気量で、自然吸気に比べて高い馬力を出す自動車のターボエンジン。一時期、燃費悪化の要因として敬遠されていたが、「エンジンを1回り小さくしてターボを付け、従来と同等のパワーを出し、燃費も向上させる」というダウンサイジングの発想へと転換したことで、近ごろターボエンジンを積んだ登録車が、日本でも増えてきた。

 中国メディアでは、これまで、「どうして日本ではターボエンジンを積まないのか」といった類の文章が数多く出回ってきたが、11日に蓋世汽車が掲載した記事のタイトルは、「どうして当時の日本メーカーはターボを愛さなかったのか」。現在形から過去形への変化が起きている。

 記事は、少し前まで欧州の各メーカーが積極的にターボを取り入れる一方で、日本メーカーは動きを見せず、自然吸気に執心していた状況から、現在市場にターボ車が充満したのを見た日本メーカが、ようやく動きを見せ始めたと説明。日本メーカーによるターボ採用の動きは、90年代に一度起きており、今回は「再始動」という形になるほか、日本国内向けの軽自動車ではターボ車が製造され続けていたことを紹介した。

 そのうえで、軽以外の自動車でターボエンジンを一度「放棄」した理由について、ホンダのある技術者の話を紹介している。欧州ではガソリンのオクタン価が95以上で、ターボ技術でネックとなるノッキングも問題をクリアできるのに対し、日本や米国、中国では91-92というオクタン価のガソリンが主流だったため、ターボ技術を取り入れると、ノッキング対策などを含めた生産コストが増加してしまう、というのがその理由だ。

 記事はまた、日本メーカーの主要市場は、まさに米国や中国などであると指摘。現地のガソリンを調べたうえで利益や信頼性、そして排気ガスの問題を鑑み、ターボではなく、自然吸気エンジンの開発に力を入れてきたのであると説明した。

 そして、現在日本メーカーがターボエンジンに回帰しつつある背景には、「ターボエンジン技術が、燃料の種類の問題を克服できるようになった」、「ターボエンジンがかえって、排気ガス抑制に有利であるとみなされるようになった」、「市場によるターボ普及の後押し」の3点があると解説。これまで中国市場でターボエンジン搭載に消極的だった日本メーカーだが、先陣を切って導入を発表したトヨタ、素早く追随したホンダのほか、日産やマツダといったメーカーもほどなくターボエンジンを中国に持ち込んでくるだろうとしている。

 これまで、「どうして少ないのか」と言われ続けてきた日本のターボ車に対する、中国自動車市場の注目や関心は高い。若者をターゲットにしたクールなターボエンジン搭載車が、中国市場における日系メーカーの新たな成長を支える強力なエンジンになりそうだ。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)