西武鉄道の新型通勤電車40000系が完成。座席の向きが変化し、電源コンセントやトイレなども備えるという、通勤から行楽まで幅広く対応するその内容が明らかにされました。西武線内秩父方面のほか、東京メトロ線、東急線などへ乗り入れ、横浜方面まで運行されます。

座席の向きが変化 通勤にも行楽にも対応可能な座席

 西武鉄道は2016年9月8日(木)、新型通勤電車40000系の2016年度製作導入編成が完成したと発表。客室内から中づり広告をなくしてデジタルサイネージを採用し、電源コンセントやWi-Fi、トイレを設置したことなどを明らかにしました。


西武鉄道の新型通勤電車40000系。10両編成が8本、導入される予定(写真出典:西武鉄道)。

 この40000系電車は2017年春から、平日は通勤通学需要を想定した西武池袋線方面と東京メトロ有楽町線を結ぶ新たな列車に、土休日は西武線、東京メトロ副都心線、東急東横線、みなとみらい線経由で埼玉県の秩父方面と横浜方面を結ぶ走行距離が100km以上と比較的長距離を走行する新たな列車に使用される予定。先述の装備によって「快適な移動時間をお過ごしいただけるほか、観光地へ向かう長距離区間でも安心してご利用いただける」(西武鉄道)といいます。


「クロスシート」状態(上)と「ロングシート」状態(写真出典:西武鉄道)。

 またこの40000系は通勤型の電車ですが、一部編成は座席の配置を2人ずつ前向きに座る「クロスシート」と、側面の窓と並行になった「ロングシート」で切り替えることが可能。通勤車両としても観光車両としても利用できる「ロング・クロスシート転換車両」なのが特徴のひとつで、この仕組みは西武鉄道では初の導入です。

西武の通勤車両へ初の導入

 中づり広告のデジタルサイネージ化は、そのように座席の向きが変わるなど、環境がした際にも適切な情報を見やすく提供することを目的にしているとのこと。


西武40000系電車に導入されるデジタルサイネージ「Smileビジョン」(写真出典:西武鉄道)。

 この広告用デジタルサイネージ「Smileビジョン」は、レールと垂直になる形で、2面の17インチモニターを横に並べて天井へ設置。1両あたり12から16面、1編成10両で合計156面のモニターが用意され、ニュースや天気予報の放映にも対応しているそうです。また乗降用ドアの上部にも、案内などに使用するモニターが備えられています。


2席にひとつ、壁面へ設けられている電源コンセント(写真出典:西武鉄道)。

 電源コンセントは、座席がおもに「クロスシート」状態のときに使用でき、2席にひとつ設置されています。

 Wi-Fiは英語と中国語(繁体字、簡体字)、タイ語、韓国語、日本語に対応しており、「SEIBU FREE Wi-Fi」の専用ページからメールアドレスを登録することで利用できるほか、NTTBPが提供する訪日外国人向け無料Wi-Fiエリア検索・接続アプリ「Japan Connected-free Wi-Fi」にも対応。電源コンセントとWi-Fiの導入は、西武鉄道の通勤車両では初です。


西武鉄道の通勤車両に初めて導入されるトイレ(写真出典:西武鉄道)。

 トイレの設置も西武鉄道の通勤車両では初めて。10両編成のうちの4号車へ設置され、車いすでも利用が可能なほか、おむつ交換シートも用意されています。

西武鉄道の車両として初めて導入される設備、装置も

 西武鉄道の通勤車両としてではなく、西武鉄道のすべての車両で初めて採用されるものとして「パートナーゾーン」が挙げられます。車いすやベビーカー、大きな荷物を持っている乗客でも利用しやすいよう、広い空間を確保。車いすを固定でき、軽く腰掛けられる新デザインの座席が導入されているほか、子どもたちが車窓を楽しめるよう側面の窓が大きくなっているのも特徴で、「電車に乗る楽しみ」も提供するといいます。


西武鉄道で初めて導入される「パートナーゾーン」(写真出典:西武鉄道)。

 空気の浄化をはかるシャープの「プラズマクラスター」を搭載するのも、西武鉄道で初です。

 西武鉄道はこの新型通勤電車40000系を、2016年度から2019年度にかけて80両導入して2017年春から順次、運転を開始する予定。同社は「『あれも、これも、かなう。西武鉄道』をコーポレートメッセージとして掲げ、お客さまのさまざまな期待にお応えし、夢や想いをかなえる沿線をめざします」としています。