初出勤した乙武洋匡さん(左)と中山弘子・新宿区長(撮影:吉川忠行)
東京都新宿区教育委員会の「子どもの生き方パートナー」に就任したスポーツライターの乙武洋匡さん(29)が6日、同区役所に初出勤した。乙武さんは、新宿区立教育センター(教育政策課)に非常勤職員として原則週2日勤務。来年3月までの1年間、「乙武プロジェクト」として、区内の小中学校を訪問し、教育委員会に提言などを行う。

 新宿区は、乙武さんの活動に連動して、学校教育、児童・青少年育成、生涯学習などの分野に携わる職員で構成するプロジェクトチームを組み、社会の変化に対応できる子どもの育成などの支援していく方針。

 記者会見で、乙武さんは「興奮しているみたいで、明け方まで寝付けなかった。遠足を翌日に控えた子どものようなワクワク感です」と心境を語り、英国など5カ国の教育現場を最近視察したことに触れながら「新宿区にも外国籍の子どもたちの割合が多い小学校がある。外国で見てきた経験も生かしたい」と抱負を述べた。

 また、中山弘子・新宿区長は「乙武さんは、多くの人々に受け入れられる体験をしてきた方。今の子どもたちも色々な人に受け入れられることで、自分を伸ばすことができれば」と期待を寄せた。

 乙武さんは、障害と共に生きる自らの体験談をつづった『五体不満足』を、大学在学中に出版、500万部を超すベストセラーになった。その後は、スポーツライターとして活躍している。昨年7月に中山区長と会談した際に、教育問題への関心の高さを見込まれ、就任を請われた。都立戸山高校、早稲田大学に在学した9年間を通して、新宿区内に住んだことから地域との縁も深い。【了】