源信(942〜1017)は、比叡山に学び、15歳で天皇に講じるほどになるが、「後の世を渡す橋とぞ思ひしに 世渡る僧となるぞ悲しき」と母に諫められ、山中横川に隠棲して念仏に専心し、『往生要集』(985)を編纂。これは、種々の仏教書から極楽往生のための念仏の意義効用についての文章を諸経から抜き書きしてきまとめたもので、基本は台密の観想念仏の三昧修養であり、空也のような庶民向けの称名念仏の易行ではない。 しかし、ここ