日本では古来から人がある日、突然いなくなってしまうことを「神隠し」と呼んだ。その犯人は天狗であるとされてきた。江戸時代には、江戸の街から突然消えた寅吉という名の少年が数年後にひょっこり戻ってきて、「天狗のもとで修行した」と証言した話を、平田篤胤が『仙境異聞』という本に書いている。寅吉の場合、無事に戻って来ることができたから良かったものの、いまだに行方知れずとなって真相が分からないままの事件があ