各種SNSの“盛り方”の指南書として話題沸騰

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 使い方によっては、強い武器にも己を滅ぼす毒にもなるSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)。いまや雑誌やテレビにひっぱりだこの人気コラムニスト・犬山紙子が上梓した「SNS盛り」には、そんなSNSで自分をいかにプロデュース=盛る、かのテクニックがふんだんに盛り込まれている。LINEについて触れた前編に引き続き、ここではFacebook、instgram、twitterにおける「SNS盛り」を紹介してみたい。

プチ情報の追加でイヤミを回避せよ!

 世界最大級の会員数を有するFacebook。ご存知のように海外発のソーシャルネットワークだからか、実名制だからか「前向き」な「リア充アピール」を良しとする新風が吹いている。

 ただそこでBBQやら高級ホテルディナーやらの写真で「盛る」のはもう古いのだとか。対男には家庭的な手作り弁当や家族旅行などの「ほっこり」でイイ子要素を盛る。同性に対しては「○◎レストラン、美味しかった」というだけでなく、「お店の住所、HPはコチラ」などプチ情報を追加することによって、イヤミに取られることを回避する。同書には、そんなFBを楽しむテクが列挙されている。

 また印象的なのが「Facebook仕事術」なる章。特に就職活動中の学生にとってFBは履歴書代わりとなるツールとなり、

「飲み会だらけのチャラチャラした写真ばかりだと、印象台無し!」

 とリア充学生に釘を刺す。卒業論文の概要やゼミでの活動など「面接時にPRすべきこと」をFBにアップするなど、現実的なアドバイスが盛り込まれており、学生必見ともいえよう。最終章にはこれらの具体例としてソー活(ソーシャルメディアを活用した就職活動)を実践し、人気企業の内定を獲得した“デキる女子”による座談会も掲載されている。

角度に背景…犬山流自撮りの極意とは?

 そして写真や動画に特化したInstagramの章は圧巻だ。

「カメラを目線より少し上にして、角度をななめにつけること」

「背景から生活感を消す」

 など本著の中で最も詳細に自撮りを含めた写真の撮り方の極意が述べられている。

 というのも写真フィルターやタグ付けが充実し、海外にも気軽に発信できるインスタは、もっとも写真の「盛り」の力量が問われるSNSだからだ。

 犬山氏本人が写真フィルターを駆使し、小顔、足長効果をプラスした「盛り写真」も必見。もちろん実物も充分にキレイな犬山氏だが、そもそもインスタの世界では「ありのままで」なんて言葉は存在しない、というところかもしれない。

ネガティブなツイートも芸に昇華すればアリ

 最後はTwitter。好きな音楽、本、映画など趣味、また個人の考えや意見を全面に押し出し拡散することが多いツールであるからこそ、片思いの彼の好感度を上げるツイテク(ツイートテクニック)はもちろん、女友達と盛り上がることにも著者が注視しているのが特徴的だ。

「愚痴を芸に消化すれば立派な武器。ネガティブなツイートもおもしろければアリ!!」

 と犬山氏は力説する。そしてそれをツッコンでくれる女友達と楽しむというのだ。

 ちなみに家を出ていてしまった同棲中の彼氏を裸足で追いかけ、そのあまりの異様さに職質された挙げ句フラれた、その様子を捨て身で実況するという猛者の自虐譚には驚いてしまったが「転んでもタダでは起きない」という男前な心意気、女たるもの見習いたいものである。(そもそもフラれたくないけれど……)

 ヒトコトでSNSといえども、発信法や利用層、空気感や「ノリ」もまったく違う。それぞれに最も適した「自らの顔」を客観的に見極め、自己プロデュースしてネットの世界に発信していくことで、現実で賢くうまくチャンスをモノにすることができるのかもしれない。

 それは決して「あざとさ」ではなく、一つの処世術である。またNG事例や各種設定、セキュリティについてもわかりやすく述べられているので「いまひとつ使いこなせていないな」と思う向きには、「SNSたしなみマナー本」としてもご一読をオススメしたい。

(取材・文/アケミン)