肉料理に合う日本酒を探す、美味すぎる

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『大人の肉ドリル』著者の松浦達也さん、『白熱日本酒教室』著者の杉村啓さんがユニット“酒池肉林”を結成。1月11日に、試食&試飲付きイベント「あの肉に合う日本酒を探せ」が都内のキッチンスタジオで開催されました。

チケットは発売後早々に完売し、キャンセル待ちが10数名という人気ぶり。本編が始まる前に仕込みを兼ねた調理ワークショップが開催されると聞き、現地に向かったところ、すでに会場には参加者がぎっしり。時間間違えちゃった!? と焦るほどの参加率です。

オープンキッチンで昆布だしをとったり、牛塊肉の筋をとったり、参加者の方々とせっせと仕込みをする松浦さん。でも、杉村さんの姿は見せません。あれ……? 杉村さんは去年、京都に移住。以来、都内と京都を行き来する生活を送っています。もしや、新幹線に遅れでも……とハラハラしていると、「思ったより人数が多かったので、酒屋に走りました!」と一升瓶を片手に杉村さんが登場。「ワイングラスでおいしい日本酒アワード2014」で最高金賞を受賞した「山丹正宗 吟醸酒」が見つかったと、うれしそう。ワイングラスに注いだ“ふるまい酒”が配られ、いよいよイベントスタートです。

今回のテーマは「肉と日本酒の相性を楽しむ」。今回のテーマは「肉と日本酒の相性を楽しむ」。“酒池肉林”の肉のほう、松浦さんが著書『大人の肉ドリル』のなかから、選りすぐりの鶏・豚・牛肉料理を実演し、杉村さんが料理に合わせて日本酒をセレクト。
あれこれ組み合わせて楽しもうという試みです。

『大人の肉ドリル』に収録されたレシピを中心に、こんな肉料理が登場しました。
※( )内は『大人の肉ドリル』内での登場ページ。

1)鳥スープ ※書籍未収録
昆布だしと鶏肉のスープ。味つけは塩だけなのに、しっかりとした味わいなのが特徴。「ホントに塩しか入れてないの?」と会場から驚嘆の声があがっていました。

2)自家製ロースハム(P88)
豚かたまり肉を漬け込み液に3日間漬け込んだ後、ごく弱火でボイルし、休ませ、再びボイルし……を繰り返して作った自家製ローストハム。手間がかかる一方、塩分量をコントロールできるというメリットもあるそう。

3)自家製コンビーフ(P90)
牛すね肉を漬け込み液に3日間漬け込んだ後、蒸し器で蒸しあげ、フォークでほぐすと、自家製コンビーフに。ほぐすのが大変なときは、パン用のブレードをつけたフードプロセッサーを使うといいそう。
蒸すときに脂が落ちるので意外とカロリー控えめ。でも、いい牛すね肉が手に入ったときは、落ちた牛脂を再び加えて“悪い味”を堪能するという作戦も。

4)ビーフステーキ(P10)
『大人の肉ドリル』によると「肉の表面だけきっちり焼き上げつつ、『焼いては休ませ』を繰り返すのがおいしいステーキの秘訣」だそう。休ませるのはコンロのまわりなど、暖かい場所を選ぶのもポイント。複数枚を焼くときは肉同士を重ね、ボウルをかぶせると、肉が冷めるのを防げるとか。肉が積まれるたび、スマホを掲げた女性陣がすずなりに。おそるべし、肉の吸引力!

5)ビフカツ(P16)
『大人の肉ドリル』の表紙を飾った、あのビフカツ。200℃〜210℃という高温でわずか30秒×2回。短時間で揚げ、網やバット上で3分間休ませ、余熱で火を通します。想像以上にあっという間にできあがるので、パーティメニューとしても重宝しそうな一品です。

さて、これらの肉料理にあわせて、杉村さんがセレクトした日本酒がこちらです。

A)秋鹿 純米吟醸 槽搾直汲
トップバッターは今年の新酒。杉村さん曰く「酸がかなり強めで、肉汁とあわせると旨みに代わるのが特徴。炭酸感もあり、爽快感が味わえます」。

B)独楽蔵 無農薬山田錦60純米
優しい香りと米のうまみ、そして長い余韻が楽しめるのが特徴だそう。「温めるとさらにおいしくなります。一口飲んだ後はゆっくりと余韻を楽しんでみてください」(杉村)

C)遊穂 生もと(※酒へんに元)純米原酒

日本酒の伝統製法「生もと」造りで作られたお酒。「生もと」造りとは“天然の乳酸菌をとりこみ、乳酸菌も一緒に育てながら乳酸を活用して酒母を造る”という酒造りのスタイル(『白熱日本酒教室』P60 <製法によって名前が変わるの?>より)。濃厚で旨みがあり、ジューシーな豚肉とよく合うほか、チーズとの相性もバッチリだそう。

D)十旭日 生もと原酒 改良雄町
肉料理はもちろん、濃い味の料理と抜群に合うという日本酒。「用意した4本のなかで、もっとも味が濃く、カレーのようなスパイシーな料理でもがっしり受けとめるうまみがあります。さらに、温めると最強です」(杉村)

牛肉6kg、豚肉2kg、鶏肉1.5kgの約10kg近くの肉とともに、一升瓶×5本+αの日本酒を総勢30名ほどでペロリ完食&完飲。大盛り上がりのうちにイベントはお開きとなりました。昨日正午には“酒池肉林”の肉のほう、松浦さんが「バイキング」(フジテレビ系列)に出演。また、“酒池肉林”の酒のほう、杉村さんも2月からラジオ関西「谷五郎のこころにきくラジオ」にレギュラーコメンテーターとして出演されるそう。着々と活動のフィールドを広げる“酒池肉林”。今後の活動に注目です。
(島影真奈美)