金髪に反対意見もあった。四六時中「アイカツ!」のことを考えている「アイカツ!開発女子会」1

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秋からはデータカードダス(アーケードゲーム)、TVアニメともに新展開へと突入し、12月13日(土)から公開中の劇場版も大ヒット中の「アイカツ!」。エキレビとしても、引き続き大注目のコンテンツです。
そこで、アニメの木村監督&加藤シリーズ構成対談と、「データカードダス」のプロデューサー対談に続く、エキレビの「アイカツ!」企画第3弾!
今回は、バンダイの「データカードダス アイカツ!」開発チームから、中村幸恵さん(写真左)、橋本佳代子さん(写真中央)、中屋有貴さん(写真右)にお集まりいただき、「アイカツ!開発女子会」を開催。「アイカツ!」愛を熱く語っていただきました。

──最初に、皆さんがどのような形で「アイカツ!」の制作にかかわられているのか教えてください。
中村 最初に私が企画に携わることになり、プロトタイプのPV、ソフトまで作成をしました。ちょうどその頃、子供が生まれることになり、プロジェクトからは一旦、外れる形になりましたが、また戻ってきた形ですね。基本的にはソフトの担当をしています。
──中村さんは、本当の始まりから「アイカツ!」をご担当されてたんですね! ちなみに、プロトタイプのPVとはどんなものだったのですか?
中村 プロジェクトをスタートするにあたって、まずは商品のイメージPVを作ったんです。
──なるほど。そもそも、この企画はどのような経緯で立ち上げられたのですか?
中村 私は元々、データカードダスの中で「プリキュア」などを担当していたんです。その中で、
データカードダスの遊びに特化した、女児物のタイトルをカード事業部で立ち上げよういうことになったのがスタートです。
──その頃から今の「アイカツ!」に近い内容の企画だったのですか?
中村 基本的な部分は大きく変わっていないかもしれません。企画当初から、ゲーム制作を担当しているの「ハ・ン・ド」さんにも企画に入っていただいていました。
橋本 いちごちゃんは、すでにいちごちゃんでしたよね?
中村 最初、「星宮いちご」ちゃんではなく、「春野いちご」ちゃんだったりはしましたが。(紫吹)蘭ちゃんたちもそのまんまです。
橋本 あとは、(霧矢)あおいが「つくし」だったくらいですね。
──あおい姐さんは、つくし姐さんだったのですか?
中村 そうなんです。でも、あおいがいちごを誘ってアイドルの学園に入るというストーリーのイメージは、その頃からありました。
──橋本さんも企画の初期段階から参加されていたのですか?
橋本 はい。担当としては、中村がゲームなのに対して、私はカードの方を担当していました。
──どんなドレスのカードを作るのか考えるわけですね。
橋本 ドレス自体のデザインだけでなく、カードのデザインも担当になります。ドレスのデザインについては、「ハ・ン・ド」の川村さん、デザイナーの村本さんのお力による部分が大きいです。あとは、バインダーなどの開発も担当しています。それ以外にも、どんなキャラクターが女の子に受けそうなのか中村たちと一緒に案を作ったり、名前も一緒に候補を出し合ったりしています。「アイカツ!」の場合、ゲームとテレビアニメのリンクが非常に大事なので、サンライズさんと打合せを行い提案させていただいています。ただ、今年の10月に海外のアイカツチームへ移動をしまして。それまでの担当業務は中屋に引き継いでいます。
──海外でもアイカツが!?
橋本 今は、インドネシアと台湾でデータカードダスとアニメの両方が展開していますし、韓国と香港でもアニメが放送しています。私自身は、基本的に日本にいるんですけどね(笑)。
──中屋さんはいつから「アイカツ!」の開発チームに参加されているのですか?
中屋 私は昨年の6月からです。最初は橋本さんの下でカードの制作や、バインダーなどサプライの商品進行をメインでやっていました。10月からは、橋本さんの仕事をそのまま受け継いでいます。稼働したての頃から「アイカツ!」が大好きで、「アイカツ!」に携わりたいとずっと思っていたので、今すごくやりがいを感じながらお仕事をさせていただいています。

最初はもっと高飛車でツンデレ系のキャラだったユリカ様

──「アイカツ!」の企画において、特に重要だと考えたのは、どのようなことでしたか?
中村 アイドルを育てるゲームではなく、自分がアバターとしてのマイアイドルを作って、アイドルとして成長していくゲームということですね。最初の企画段階ではコンセプトとして、キッザニア(子供を対象にした職業体験テーマパーク)のように、アイドルの職業を疑似体験するゲームだと考えていました。だから、ライブだけではなくて、ドラマとか、ファッションショーなども、アイドルがやるお仕事として組み込んでいったんです。とにかく「自分が」ということは今も大事にしています。そういった理由もあって、いろいろなコラボ企画などをご提案いただく時にも、いわゆるプロデューサー目線の企画というか、自分がアイドルではないコンセプトの企画については、お断りさせていただいたり、調整をお願いしたりしているんです。
──キャラクターに関しては、バンダイ側の作った原案に対して、アニメではアニメのスタッフがさらに膨らませて描いている形ですか?
中村 そうですね。データカードダスのソフトの開発の方が、(アニメ制作より)時間がかかる場合があるので、こちらから提案させて頂くことも多いです。とはいえ、アニメのスタッフさんとも綿密にご相談しているので。その都度、ご意見をいただきながら作っています。もちろん、テレビアニメの設定をゲームに反映させて頂くことも多いです。そのあたりのコラボが「アイカツ!」の可能性をさらに高めていると思っています。
橋本 世界観やキャラクターなど、データカードダスとアニメで共通の部分は多いですし。本当に一緒にやらせていただいている感じです。
──「アイカツ!」が稼働してから、ユーザーの反応で予想外だったことなどはありますか?
橋本 何かありましたっけ?
中村 う〜ん……。
橋本 事前にかなり念入りにリサーチを行っているので、極端に予想外の反応ということはあまり無いと思います。ただ、キャラクターの人気順では、「こっちの子の方が人気あるんだ?」みたいなことはありますね。例えば、ユリカ様の人気ぶりとか。

──前回の男性スタッフ対談でも、アニメの木村監督とシリーズ構成の加藤さんの対談でも、ユリカ様の人気が意外だったという話がありました。
中村 私たちも想定以上の人気に驚きました。
橋本 ゴスロリのファッション自体は女の子の間でも人気が高かったので、きっと好きなんだろうなとは思っていましたが、あそこまで人気になるとは!
──ユリカ様のキャラ設定を作ったのも、中村さんと橋本さんですか?
中村 はい。最初の案はもう少しキツイ顔をしていましたが。
橋本 その当時のユリカ様は、もっと高飛車でツンデレだったんです(笑)。でも、髪型とかも変わってないですね。
──自称600歳のバンパイア設定も最初からあったのですか?
橋本 あれは完全にアニメサイドで追加してくれた設定です。
中村 最初から、ちょっと厨二病気味でツンデレの子にはしていたんですけど。そこに、吸血鬼という設定を被せてくださったのはアニメのスタッフさんです。キャラづくりをしているアイドルという設定は非常に新しかったですね。
橋本  木村監督と加藤さんが考えられたのだと思うのですが、バンダイだけでは難しかったクリエイティブな部分ですね。

金髪に反対意見もあった主人公の星宮いちご

──それぞれ、特にお気に入りのキャラクターを教えてください。
中村 えー誰だろう。
橋本 先にどうぞ。私、すごい悩む(笑)。
中屋 悩みますね(笑)。
中村 やっぱり、最初に誕生したキャラクターはいちごなので、思い入れは強いですね。

──星宮いちごちゃんを作るときには、どのようなことを意識されたのですか?
中村 いちごは、誰にでも愛される主人公として、わりとオールマイティというか、どこかがすごく突出しているというタイプではなく、一番ニュートラルなキャラクターという立ち位置でスタートしています。あと、子どもさんが感情移入できるように、多少ドジにしたりとか、完璧な子ではない。逆に、(神崎)美月先輩はすごく完璧な女性として作ったキャラクターです。
──苦労したポイントはありますか?
中村 苦労とは違うのですが、社内で金髪のキャラはやめた方が良いんじゃないかという意見がありました。「アイカツ!」では、わりとリアルな路線で行こうという方針なのに、それで良いのかと。
──リアルな路線というのは?
中村 「アイカツ!」は、「プリキュア」などよりも年齢が上のお子さんをメインターゲットにしているので、なるべくリアルな芸能活動をしている女の子の等身大の話にしようと思っていたんです。一つだけアイカツシステムというすごく大きな嘘はついているんですけどね。
──なるほど。そこで金髪は少しファンタジーであるというツッコミがあったのですね。
中村 でも、金髪の方が華やかなので「大丈夫です!」と言って押し切りました(笑)。金髪にして良かったと思っています。
──黒髪と金髪とでは、主人公としてのキャラ立ちが全然違いますよね。
中屋 いちごちゃんは華やかで、何を着ても似合いますよね。どのブランドのドレスでも、似合わないってことがない
橋本 うん。あんまりないよね。髪の色の話で言えば、(音城)セイラの時もピンクの髪がどうなのかって話が……(笑)。
中村 でも、アニメのスタッフさんも絶対にピンクが良いと言ってくれて、そこも押し切りました(笑)。
──素晴らしいチームワークですね(笑)。

アイカツ関係者全員が涙する「劇場版アイカツ!」

──では、迷っていた橋本さんの押しメンは?
橋本 私はやっぱり美月です。美月がいなかったら、「アイカツ!」は始まっていないと思っているので。それに、自分の感覚的に、最初の3人(いちご、あおい、蘭)とはずっと一緒に走ってきたような感じがあるんですね。でも、美月のことは憧れのような気持ちでずっと追いかけてきたところもあるので、一目置く存在というか。すごく特別なんです。

──いちごちゃんが美月に憧れて追いかけてきたのと、同じような感覚なんですね。
橋本 「劇場版アイカツ!」は、そんな2人の関係がすごく色濃く描かれているので、本当に感動しました。あの映画を観て、涙しないアイカツ関係者はいないんじゃないかなって思うくらいです(笑)。
中屋 ストーリーと関係無いところでも泣けるんですよね(笑)。
橋本 そうそう。
中村 これまでに美月が登ってきた道のことを思うと、グッときちゃうよね。
橋本 あと、自分で初めてゼロからキャラクターを提案させてもらったのが、美月のパートナーになる(夏樹)みくるちゃんだったんですけど。そういう意味では、みくるも特別な存在です。
──みくるちゃんのキャラクター設定の際は、やはり美月さんのパートナーという部分は強く意識されたのですか?
橋本 はい。一緒にいて、美月が動きやすいキャラクターってどんな子かなというのは、すごく考えました。ポップタイプのブランドをイメージしたキャラクターにすることは決まっていたので、「ポップのドレスが似合う子で、美月のパートナー?」と、けっこう悩みました。
──ストレートにポップな子だと、軽すぎて、美月さんに並び立つ感じにはなりにくそうです。
橋本 そうですよね。美月と一緒にいられる、ちょっと年上のポップな子って難しかったです。中村やアニメチームにもよく相談しました。最終的に、テレビアニメでもうまく描いて頂き、うまくハマったかなと思っています。
──みくるちゃんは、アニメの2ndシーズンの中で、特に好きな新キャラの一人です。では、中屋さんは?
中屋 私はずっと蘭ちゃんが好きなんです。パッと見、すごく完璧で人気もあるけれど、実は一番人間らしいというか……。アニメで(ユニットの)トライスターに加入した時とか、いろいろと悩んだりもするじゃないですか。そういう心情がすごく分かるなって思って大好きなんです。でも、今は(大空)あかりちゃんに頑張って欲しいなって思っています。あかりちゃんがいちごちゃんから主人公を引き継いだのと同じタイミングで、私もカード担当を引き継いだので(笑)。
橋本 まったく一緒なんですよ。

中屋 あかりちゃんは、まだいろいろとできないことも多いですけど、星宮先輩みたいなアイドルになれるように頑張っているので、私もあかりちゃんと一緒に頑張りたいなって。だから、すごく思い入れがありますね。今はまだみなさんも、いちごちゃんや、いちごちゃん世代のキャラクターへの思い入れが強いと思うのですが。あかりちゃんが成長して、いちごちゃんのような存在になっていけば、みんなの気持ちも、さらにあかりちゃんたちに向いてくれるのかなって思っていて。そういうことは、アニメでも描いてくれるだろうし、自分もあかりちゃんと同じように頑張りたいです。
橋本 あかりちゃん、映画でも活躍しますしね。
──「劇場版アイカツ!」、いちごと美月の物語かと思っていましたが、あかりちゃんを含めた3世代を本当にうまく繋いでいく物語になっていますね。
橋本 映画は「SHINING LINE*」(2ndシーズン後期OP)のお話なので。
中村 そうそう。
──歌詞どおりの物語ですよね。こうやって、皆さんにお話を聞いてると、ゲーム開発者への取材でなく、単にアイカツのファン仲間と話を聞いてるみたいな感覚になります(笑)。
中村 ははは。
橋本 そうですね。好きでなかったら、ここまでできなかったというか。自然と好きになっちゃいますよね。
中屋 四六時中ずっと「アイカツ!」のことを考えてますからね(笑)。
(丸本大輔)

後編に続く

≪「アイカツ!」最新ニュース≫

12月30日(火)の夜、インターネット配信番組『紅白アイカツ合戦』の配信が決定!
配信時間などは、公式サイトをチェック!
http://www.aikatsu.com/event/event106.html
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