Q.夢というものがビジョンとして見えてきましたか?

A.ちょっとだけですかね。まだまだ自分は英語も喋れないので勉強しなきゃなとも思いましたし…。ほんの少しだけですけど、でもこの経験は自分にとって大きかったなと思います。

Q.山田監督から、今時の女性じゃないと言われたことは、どんな心境ですか?

A.自分が自分自身で今時じゃないと思っているわけではないですし、でも、監督からそう見えるっていうことに、そう思っていただけて嬉しいなとも思います。そのおかげでタキちゃんができたので、「やったな」って思います。

Q.では、今後も“今時じゃない”というその路線は変えずに?

A.自分で意識しているわけじゃないので…。私、普通に今時ですよ?(笑)。

◎「小さいおうち」とは

山田洋次監督の82作目となる最新作。2010年に直木賞を受賞したベストセラー、中島京子さん原作の同名小説を映画化した作品で、昭和初期、東京郊外に佇む赤い屋根の家に奉公した女中タキが見た、ある“恋愛事件”が描かれる。

タキが封印した“秘密”が、60年の時を経て紐解かれていく本作。50年以上にわたって、“家族の絆”を描いてきた山田洋次監督が、本作では初めて“家族の秘密”に迫る。家族の温かさを見つめ続けたその目で、更に深く、人間の心の奥底に分け入り、その隠された裏側までも描きだした、切なくもミステリアスな物語だ。

◎「小さいおうち」ストーリー

昭和11年。田舎から出てきたタキ(黒木華)は、東京郊外に建つ少しモダンな、赤い三角屋根の家で、女中として働きはじめる。そこには、優しい奥様・時子(松たか子)と旦那様・雅樹(片岡孝太郎)、可愛いお坊ちゃんが穏やかに暮らしていた。しかし、一人の青年(吉岡秀隆)が現れ、時子の心があやしく傾いていく。ひそやかな恋愛事件の気配が高まる中、時子を慕い、家族を見守るタキは、一つの選択を迫られることになる。

それから、60年後の現代。晩年のタキ(倍賞千恵子)が大学ノートに綴った自叙伝には、“小さいおうち”で過ごした日々の記憶が記されていた。数年後、この世を去った彼女の遺されたノートを読んだ親類の健史(妻夫木聡)は、遺品の中から、一通の宛名のない手紙を見つけ、長く封印され続けた、ある“秘密”の真相へとたどり着いていく。