アキバで国産3Dプリンタを見てきた
プリンタヘッドは左右に動作し、作品を載せるベッドが前後に動作することによって熱で溶かしたPLAをパソコンで指定したオブジェのかたちにしていく。サンプルとしてチェスのコマをつくってもらったが、2時間弱もかかるというかなり長時間な作業となった。
最小0.1mmで幾重にも層を重ねることで造形する「積層式」を採用しており、たしかに薄い層を丹念につくり重ねていく様が見られた。付属のソフトは三次元CADソフト用のファイル形式「STL」に対応し、同ファイルを読み込んで、位置などの指定をして実行ボタンを押せばプリントが始まる。
「簡単なものをデザインしたいならフリーの三次元CADソフトで十分、複雑なものなら3DCGソフトのShadeを使うのがいいでしょう」（ツクモ店員）
で、実際できあがったものをみると、チェスの塔の中に螺旋階段まで再現されており、かなり精確にできあがっているのに驚いた。ただ、失敗することもあるという。
「できあがった当初、よく冷やさないで熱を持った状態のままだと、重力によって垂れ下がってしまう部分も出てきてしまうのです」
そういえば、本体の上と左右に穴が開いており、空気を通す役割があるのだと分かった。これで冷やすわけだ。さらに、パソコンでよく見る小型扇風機が乗っかっている。これも冷却対策のためである。
さて、この3Dプリンタのデモを見て、訪れたお客さんの反応はどうか。
「たいへん注目していただいています。やはり珍しいのでしょう」
ただ、5年くらい前からすでに3Dプリンタを認知しているユーザー層もある。それは、ロボット制作ユーザーだ。自分でロボットを組み立てる際、外装をつくるのに3Dプリンタを活用することができるからだ。
最大造形サイズは高さ175×幅150×奥行き150mmと制限があるため、パーツごとに3Dソフトでデザインすることによって、ある程度大きなものもできるのだ。ロボットパーツのほか、オリジナルのレゴブロックをつくって、ブロック組立を楽しむこともできる。
ほかの用途としては、PLAが農産物由来のプラスチックで、二酸化炭素と水に分解されるエコ素材なのを生かして、土に帰るプランターをつくれると言う。それを土に埋めてやると、自然と土に帰るのであと始末が要らないわけだ。
いろいろ、日常で使う小物（ペン立て、iPhoneホルダーなど）をつくるのもいいだろう。ただし、コーヒーカップといった熱いものを入れる容器には不向き。熱で変形しやすい性質の素材だから。
「今後、同プリンタだけでなく、さまざまな3Dプリンタが各社から出ることが予想されます。すると、価格はもっと下がり、品質、性能はもっと向上するでしょう」
3Dプリンタで、お気に入りのフィギュアを簡単かつ精巧につくれる日は近いかも！
（羽石竜示）
