試合巧者のイタリアに惜敗した日本。だがブラジル戦の完敗から一転、ザックジャパンは意地をみせた
コンフェデ杯2戦目。日本の春のような過ごしやすい気候だったブラジリアから一転、高温多湿のレシフェで行なわれた日本−イタリア戦は、手に汗握る白熱の展開となった。

先制したのは日本。開始から激しいプレスで相手のミスを誘い指導権を握ると、前半5分にいきなりビックチャンスをつかむ。香川の左サイドからのピンポイントクロスを、前田が頭で合わせた。惜しくもシュートはGK正面だったが、その後も相手のお株を奪うパス回しで翻弄。すると同20分、イタリアの左DFデチェリエのGKへのバックパスを岡崎がカットし倒されてPKを獲得。本田が冷静に右スミに流し込んで先制した。

イタリア代表のプランデッリ監督が「最初の20分は、まったく状況をつかめなかった」と語ったように、スタジアムに駆けつけたブラジル人からのジャパンコールにも乗せられた日本は、先手を取ったあとも猛攻を仕掛け、前半33分には2点のリードを奪う。相手のクリアミスを今野が右足で跳ね返し、そのこぼれ球を香川が反転して最後は左足で右スミにたたき込んだ。

それでも、さすがはW杯3度の制覇を誇るイタリア。戦術家として知られるプランデッリ監督がシステム変更によって流れを引き寄せる。前半30分、右FWのアクイラーニを下げジョビンコを投入。4―3−2−1から4−3−1−2に変更し、巻き返しを図った。

「あれで完全に流れが変わった」とプランデッリが試合後に振り返ったとおり、このわずかな配置換えで一気に雲行きは変わった。ピルロを軸にジワジワとボール支配率を高めたイタリアは、41分にピルロの右CKからデロッシが頭で決めてまず1点差に詰め寄る。その勢いのまま臨んだ後半では、立ち上がり5分、7分と立て続けに2点を追加し、すんなりと逆転に成功した。

だが、0−3で完敗したブラジル戦とは違い、この日のザックジャパンは意地を見せた。負ければ敗退が決まる試合。失うものは何もない。選手もブラジル戦では見られなかった「勇気」と「チャレンジ精神」を持って反撃。29分に遠藤のFKを岡崎が頭で決め、再び試合を振り出しに戻した。

 最後は41分にDF陣が崩されジョビンコに決勝点を決められ力尽きたが、母国との初対決を終えたザッケローニ監督は「結果は残念。でも、内容ではイタリアにまったくひけをとらなかった」と手応えを口にした。敗れはしたものの、FIFAランク8位の強豪に大善戦。チームが絶望感に苛まれたブラジル戦からわずか4日、1年後にW杯に向け、希望の光が射した90分だった。

■取材・文 / 垣内一之(スポーツニッポン)

■撮影:岸本勉/PICSPORT(6月19日、レシフェのペルナンブコアリーナにて)