ドイツのクラインガルテンにて(筆者撮影)

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年齢を重ねてくると体にいろいろ変化が起こるが、男性によく現れるのがハゲである。中でも20代、30代くらいの所謂「若ハゲ」の人の多くはそれを気にして育毛したり、髪型を工夫したり、カツラや帽子をかぶったりしているのをよく見かける。ところで、日本からはるか離れたヨーロッパの先進国ドイツでも、日本人同様にハゲを気にしてケアしているのだろうか。

調べてみるとやはり男女問わずハゲに対するケアは様々行われている。たとえば、以下のような事例がある。

■頭髪に塗る
・髪の毛を週一回だけシャンプーした後、お酢を注ぐ
・薬局でしか売っていないカフェインが多く入っているシャンプーを使う
・シリコンなしのシャンプーを使い、ドライヤーをなるべく止めて洗う回数を減らす
・オリーブオイルやレモン汁でリンスする
・整髪料をアルカリ性のものに変える

■食生活を変える
・酸性の食料品を減らして、アルカリ性のものを増やす
・ファーストフードを減らして、なるべく全麦、有機栽培の食料品だけを食べる
・ミネラルウォーターの摂取量を増やす

■その他
・ ピルの処方箋を産婦人科に貰って、女性ホルモンを増やす
・ヨガなど精神的に楽になるようなエクササイズをする
・“Haarverdichtung”――工夫して髪の毛を多く見せる

で、こうしたケアや工夫をしても、どうしても毛が生えず、地毛だけでは間に合わない男性はどうするか。
・超短髪の髪型にする
・スキンヘッドにする
といった日本でもよくある方法で潔くハゲを露出させる。

ところで日本ではお馴染みの「カツラ」の使用はどうだろう。あるドイツのカツラ屋さんに聞いたところ、
「ガンなどの大病や事故のために髪の毛を失った人たちがおもに使用します」とのこと。つまり、自然に禿げた男性はほとんどカツラを被らない。超短髪やスキンヘッドにすることが多いという。

どうしてだろう。ある中年ドイツ人男性に聞くと意外な回答を得た。
ドイツ人男性の多くは、35歳くらいから禿げていることをあまり気にしなくなります。というよりも、禿げているほうがカッコイイと思うようになるのです」
「中には格好よく見せるため、剃ってわざとハゲにする男性もいます」

うーん、確かに言われてみれば、禿げていてカッコイイ白人の中高年男性俳優、たとえばショーン・コネリーやブルース・ウィルス、ジェイソン・ステイサムといった人たちがすぐ頭に浮かんだ。

ドイツ人男性は日本人よりも若ハゲが多い印象を受ける。なので、ハゲに悩む人も多いと予想していたが、自然に禿げることに対して日本人よりもこんなにポジティブだとは驚いた。
周囲と同じであるより個性的なことを重んじるドイツ人――「禿げてたっていいじゃないか、だって男らしいもの」といった感じだろうか。
(羽石竜示)