本誌連載「掛布雅之のバックスクリーン直撃談!」はGW特別企画として江夏豊氏を招き、阪神2大スターOBによるファン垂涎のガチンコ激論。阪神躍進への鍵となる交流戦の戦い方からルーキー藤浪の投球、そして巨人潰しの極意までをしゃべり倒した。

江夏 お前さんとこうやって対談するの、初めてちゃうかな。お前さんからの話なら断るわけにいかんからなぁ(笑)。

掛布 よろしくお願いします。プロ野球も一回りして、阪神は巨人戦での3戦連続零封(4月9日〜11日)が話題になりましたよね。

江夏 史上初だってね。4連戦で3試合完封っていうのはあったけどな。1968年の9月で、1試合目に俺が先発して延長11回1対0。次の試合、ダブルヘッダー第1試合で村山さんが堀内さんと投げ合って1対0。第2試合が例のバッキーと荒川の乱闘事件だ。

掛布 ああ、その時ですか。

江夏 その試合はコテンパンに負けて、次の日また俺が投げて3─0で完封した。

掛布 僕ね、今の阪神のエースは能見だと思うんですけど、まだ本当のエースになりきれてないんですよ。

江夏 そうねえ。能見君は去年‥‥。

掛布 10勝10敗です。貯金ができなかったんです。

江夏 そうやろ。エースと言われる人は、例えば故障で10しか勝てなかったら負けは5つにするとか。そういう形が必要だろうな。

掛布 今年はWBCがあったので能見が開幕投手から外れて、ローテで相手のエースとぶつかる可能性が少ないと思うんですよ。

江夏 WBCって監督にとっては迷惑な話だよな。キャンプであちこちの監督と話したけど、困惑した声が多かったよ。

掛布 そうですよね。江夏さんだったらWBCのあと、開幕投げますか?

江夏 俺だったらWBCに出ない(笑)。

掛布 出た!そこに行きますか(笑)。

江夏 プロ野球選手にとって大事なのは公式戦だからね。自分たちの時代には日の丸を掲げての戦いってなかったから、気持ちがわからないけど。

掛布 なるほど。開幕からしばらくたって、今年の阪神のゲームはどうですか?

江夏 どんなにいい打線でも打てない時はあるよね。いいピッチャーに当たる、もしくは波が来なかったら乗っていけないっていうのは、ある程度、指導者も理解していること。

掛布 今年の阪神はピッチャーの防御率がよくてあまり点を取られていないのは、僕もちょっと安心してるんですけど。

江夏 そう。ディフェンスは計算できるんだよね。これについては各チームの指導者はかなり気を配ってるんじゃないかな。

掛布 零封した巨人との3連戦を見ても、福留のみごとなダイビングキャッチがあった。(去年ライトを守った)マートンではとうていできないですよ。その前にライト線のヒットをセカンドでアウトにしたとか、ああいうプレーは去年の阪神にはなかったですよね。

江夏 抜けていればツーベースだからね。

掛布 今年の阪神のディフェンスは去年よりいいと見ていいですよね。

江夏 たまたまかもわかんないけどね(笑)。