『くまモンといっしょ! 〜6泊7日のサプライズ旅〜』(扶桑社刊)
ゆるキャラグランプリ2011王者・くまモン写真集にして、「熊本県営業部長・くまモン」が案内する熊本観光名所。

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名前に「くま」が入っているからか(私、オグマと申します)、昔から「くまキャラクター」には結構うるさいほうだ。

実家には「シャケをくわえた木彫りのくま」が当然あった。
おっさんだけど「くまのプーさん」グッズも「ダッフィー」グッズも持っている。
「ミーシャ」といえば歌手じゃなくて「モスクワ五輪のマスコットぐま」のことですけど何か?(ちなみにミーシャのぬいぐるみも持ってますけど何か?)

でも、今、「くまのキャラクター」と聞いて真っ先に思い浮かぶのはやっぱり彼だ。
ゆるきゃらグランプリ2011王者・くまモン。
2012年は国内における最高ライセンスブランド・キャラクターを決定する「ライセンシング・オブ・ザ・イヤー2012」でニューフェイス賞も受賞(ちなみにグランプリは「ワンピース」)。この人気っぷりに敬意を評して、個人的に「くまモン先輩」と呼ぶことにしている。まさにくま界のトップランナーだ(足、明らかに短いけど)。

どのくらい人気でモテモテかというと、9月からのたった3ヶ月間で7冊もの「くまモン関連本」が発売されているほど。
ファンブックあり、グッズ紹介ものあり、カレンダーと合わさった実用的なものなどそれぞれ工夫が施され、どれも「くまモン先輩」の可愛さ満載。
だけど、ゆるくて可愛いだけじゃ、ここまでの人気者にはなっていないと思うのです。

「熊本県営業部長」という肩書きで全国各地を飛び回り、マスコットなのに名刺まで持って「名刺1万枚配布キャンペーン」など数々のPRイベントをこなしてきた観光大使としての実績。最初はもっと痩せ形キャラだったのに、仕事熱心なあまり熊本の名産品を食べ過ぎて今のでっぷりした体型になってしまったという、まさに仕事の鬼! 今では「ゆるキャラ」ならぬ「売るキャラ」なんて呼ばれるほどに、熊本県のセールスマンになりきっている。

そんな仕事大好き・くまモン先輩の「働きっぷり」を収め、くまモン本出版ラッシュのトリを飾る(くまだけど)のが、『くまモンといっしょ! 〜6泊7日のサプライズ旅〜』。
「くまモンの1日@熊本県庁」をはじめ、祭りや体操教室で子どもたちと触れ合う「くまモンの出張仕事」など、働く男(くま)の姿を追いかけている。
さらには熊本城、黒川温泉、そして阿蘇などの熊本県内の名所を訪ね、からし蓮根を手作りし、熊本ラーメンに舌鼓を打つ(舌、あるのか?)
メジャーな観光どころばかりではなく、「くまBAR」(なんだそれ?)、海の駅・道の駅などの地元民御用達の場所もさまよい、クルーザーに乗って有明海を愛でる……そう、これは「くまモンブック」でありながら「熊本観光ガイドブック」にもなっている、一冊で2度美味しい本なのだ。

いやいや、美味しさはそれだけじゃない。
購入者だけのスペシャル特典も付いてくるのがうれしい。

まずは50cm×60cmサイズの「くまモン特製・大判すごろく」。
すごろくしながら熊本県について学べてしまう上に、くまモンサイコロまで作ることができる。

そして、応募者全員プレゼントの「特製くまモン名刺」。
くまモン先輩の形にかたどられた名刺は名前の欄が空白になっているので、自分の名前を書いて使うことができてしまう。
(私のように名前に「くま」が入っていると効果倍増!)

何よりうれしいのが、どの「くまモン本」よりもサイズが大きいこと(B5変判)。
たっぷりしっかり、くまモン先輩の勇姿とモフモフ感を楽しめるとともに、熊本の景色もじっくり堪能できるようになっている。
「おはくま〜!!」
「モンジュール!」
「くまンタレブゥ?」
「ベリーサンくま〜」
熊本の大自然のもと、ボソっととつぶやく「くまモン語録」が、また妙にツボにはまってしまうのだ。

各ページ下に描かれた、雨にも風にもめげず一歩ずつ前に進む「くまモンパラパライラスト」も健気でかわいい。
こんな風に、顔はふざけているようで、でもとにかく一生懸命にチャレンジを続けるくまモンの魅力が凝縮された一冊だ。

それにしても人気者なだけじゃなく、うまいもん食べて、いい景色堪能して、あげく出張のふりして東京見物までしてしまうくまモン先輩、正直うらやましい……。
でも、何が一番うらやましいかって、親友がスザンヌ、ってことなんだけどね。
(オ「クマ」ナオト)