「消費税の次はカジノ法案審議」−−。7月3日付野村證券のこんなレポートが、にわかに注目されている。
 2010年4月に超党派の国会議員で構成する国際観光産業振興議員連盟(通称・カジノ議連)が発足、カジノ解禁に向けた法案提出が何度も囁かれ、そのたびに空振りに終わっていた。しかし今回は「永田町に広いネットワークを誇る」(関係者)野村のご託宣。「増税と原発推進で反感を買っている野田政権が、起死回生策として震災復興や沖縄振興などを旗印にカジノ法案成立に打って出る。そんなシナリオを察知した野村が、いち早く観測気球をぶち上げたに違いない」などと市場筋が騒々しい。
 むろん審議入りどころか、このまま総選挙になだれ込み、再び見果てぬ夢で終わる可能性もある。しかし、別の証券系シンクタンクもカジノ解禁を先取りするように、コナミ、セガサミーHD、日本金銭機械、グローリーなどを注目銘柄として挙げ、それに伴って各社とも値を飛ばしているのだ。

 中でも関係者が「やっぱり」と口を揃えるのは、セガサミーHDが今年3月、宮崎県の大型リゾート施設『シーガイア』を総額58億円で買収したこと。
 「これぞカジノ解禁をにらんだ先行投資に違いありません。カジノ議連の“熱意”が通じて法案が成立すれば、パチンコやゲームセンターで培ったノウハウが活用できる。まして巨大なリゾート施設だから集客力もある。数年もたてば、買収費用などスンナリ回収できるとソロバンをはじいたはずです」(経済記者)

 市場筋が熱い視線を送るのには別の理由もある。この6月、香港では「ハンセン指数」の採用銘柄が一部入れ替わった。これ自体は定期的なものだが、特筆すべきはマカオでカジノを運営する会社が新規に採用されたことだ。これは東証でいう日経平均255銘柄に採用されたことを意味する。
 カジノはすでに120カ国以上で合法化されている。だからこそ市場筋は「もうカジノ解禁のうねりは止まらない」とエールを送る。
 「東京都の石原慎太郎知事がお台場への誘致に意欲を燃やすなど、積極的な自治体もありますが、まだ国民の間にはアレルギーが根強い。これをどう説得して決着させるか。カジノ議連のセンセイ方の力量が問われます」(関係者)

 どうせカネを巻き上げられるなら、税金より博打の方がいい?