知っていると得をする「税の抜け穴」
経済アナリストの森永卓郎氏は、『サラリーマンのための安心税金読本』（小学館／刊）の中で震災復興需要が切れる２〜３年後に“ハイパーデフレ”がくる可能性を指摘しています。ハイパーデフレとは、給料や企業の収益が下がり、誰も物を買わず、需要が供給を大幅に下回り、あらゆる物価が劇的に下がるという状態で、家計にとっても深刻な事態だと言えます。
仮にハイパーデフレが本当に起こるなら、その備えとして最も有効なのは「節約」「節税」でキャッシュを貯め込むことです。
節約についてはそれぞれやり方を持っている人が多いものですが、節税となると、どうしていいのかわからないという人が多いのではないでしょうか。
今回は森永氏が勧める、サラリーマンでも実行可能な節税術を紹介します。
給与から天引きという形で会社が自動的に税金を納めてしまうため、日本のサラリーマンはおそろしく税金に無頓着だと森永さんはいいます。サラリーマンは自営業者と違い、収入を完全に把握することが可能なため節税しにくいといえますが、その気になればサラリーマンでもできる節税はいくつもあります。
その一つが「医療費控除」の積極的な利用です。
医療費は、年間10万円を超えた分については控除の対象になるとされていますが、多くの人は病院で支払った代金だけが医療費だと勘違いしています。
医療費には通院のための交通費（タクシー代も認められるケースもある）や、薬局で買った市販薬代、介護費用や訪問リハビリの費用も含めることができます。
そうすると家族全員の医療費を合計すると年10万円を超えるという家庭は少なくないはずです。
このように、医療費控除を上手に使うために、領収書は必ず取っておくようにしましょう。
■「扶養控除」の意外な活用法
扶養控除が適用されるのは子どもだけだと思われがちですが、実は親にも適用できます。親が年金暮らしで、親の年収が158万円以下（65歳未満は108万円以下）であれば扶養家族として認められ、控除を受けられます。これは同居していなくても大丈夫で、田舎に住む両親の年金収入が低く、仕送りをしているなら、扶養しているとみなされて控除を受けられるはずです。
『サラリーマンのための安心税金読本』は、森永氏の他にも、経済ジャーナリストの荻原博子氏や経済評論家の藤巻健史氏、経営コンサルタントの大前研一氏など、お金のプロフェッショナルたちが、税に疎いとされる日本のサラリーマンに向けて税のシステムや節税の知恵を解説しています。
ハイパーデフレもさることながら、節税の方法を知っておくことは、今まさに検討されている増税への対策にもなりえます。税を知ることは、厳しい不況から家計を守るための必須知識なのかもしれません。
（新刊ＪＰ編集部）
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