独特なしゃべりと鋭い内容で、ある意味カリスマ的人気の猪子氏。大企業の社員もいいけどね、と言うけれど…

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 IT界の異端児と呼ばれる、チームラボ代表の猪子寿之氏。東京大学在学中に友人らと“ウルトラテクノロジスト集団”チームラボを結成、卒業と同時に会社組織化して代表に就いた猪子氏が、「正社員」のあり方について自身の考えを語っている。

 就職氷河期といわれる現代の就活生だが、彼らが目指す最高の勝ち組は、大手企業の正社員。猪子氏も、「それは一番お得な選択肢」と理解を示す一方で、社会的生産性が低くなる危険性もあるという。

「みんな仕事内容とか適性とか関係なしに大手企業に行こうとする。その結果、自分の能力と仕事内容が不一致になって、生産性が下がる。超大企業とかだと、例えば勝つ気もないのにメンツを保つために残しているだけの事業部とかっていっぱいあるじゃん。そこで働いている人とかは、ほんと無意味。これ以上、赤字増やしたくないから、勝負もしないし。勝負しなければ働いている人のその分野のスキルもどんどん減るし。生殺し」(猪子氏)

 確かに大企業になればなるほど、利益をあげる部署の一方で、当然のように赤字部署は存在する。なぜ、そういった部署を企業は整理しないのか。

「本来なら事業が赤字なわけだから潰せばいいんだけど、雇用が減ることを不安に思う国が補助金を出したりして潰させない。仮に、その事業部をなくして全員解雇したら、働いていた人たちは同業種のベンチャー企業に入るかもしれないし、個人で起業するかもしれないのに。そうすれば、本気で勝負する場所に優秀な人材が集まる」(猪子氏)

 ベンチャー企業家の猪子氏らしい考え方だ。もし正社員になって実力もつかないような部署に配属されると、社会が変動したときに何もできない人になって終わってしまうと警告する。結論としては、「社会が変動していない場合、またはJALみたいに、社会が変動を補填してくれる場合」は、正社員が一番の選択肢でかまわないという。

「でも、だんだんと変動していることを嘘ついて無理やり変動してないことにすることはできなくなるから、大企業の社員はすごい損する時代がやって来るよね」(猪子氏)

 会社の中で自分のスキルを最大限に生かせていないと感じたなら、“勝負”すべきというのが猪子氏の主張だ。

(構成/杉原光徳、撮影/本田雄士)

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