南方都市報道は27日、これまでの経緯を見ても北京・上海高速鉄道線には重大な安全上のリスクが存在するのは明らかであり、関係当局は運行停止を考えるべきだとの論説を発表した。中国国内の過去の在来線や日本やフランスの高速鉄道線と比べても試験運転期間が短すぎると指摘した。

■工期を大幅短縮、あまりに低劣な質

 署名はないが、筆者は北京在住の研究者という。23日に浙江省内で発生した高速鉄道の惨劇(さんげき)と合わせて考えても、北京と上海を結ぶ高速鉄道線「京滬高速鉄路」の安全性について考えざるをえないと主張した。

 「京滬高速鉄路」の着工は2008年で、政府が発表した工期は5年間だった。2013年完成ということになるが、2010年11月15日に線路の敷設を終えた。当局側は工期を2年半も短縮したことを「偉大なる成就」と宣伝した。

 しかし6月30日の開業後は故障が続出。7月25日に発生した送電の停止は「大風で電力供給施設の軒のトタンが飛び、電線を切断した」ことが原因だった。筆者は「あまりにも低劣な建設の質。工期の短縮に関係するのではないか」との見方を示した。

■乗客の命を使って欠陥を探している

 開業前の試験運転期間も短かった。全線で人を乗せない試運転を始めたのは5月11日で、6月7日からは関係者などを乗せ、車内サービスの訓練も始めた。開業は同月30日だった。

 中国国内の過去の例では、北京と香港を結ぶ在来線使用の京九線の開業時には、約1年の試運転を行った。日本やフランスの高速鉄道では、半年以上の試験を行っている。

 筆者は、京滬高速鉄路の各種の故障は「開業前の試運転で、洗い出すべき問題だった」と主張。試験中に問題が出るのは正常なことだが、「現在は、何万人もの乗客を、欠陥の排除に使っている。『ならし運転』と発言した関係者がいたが、あまりにも軽率だ。危険ではないか。重大な事故が発生した場合、だれが責任を取るのか」と、中央政府・鉄道部を含めて関係者を批判した。

 これまでの経緯は「京滬高速鉄路に多くの安全上の問題が潜んでいることを示しており、今後も運行を続けることには巨大なリスクがある」と主張し、「関連部門は、いったん営業を停止して、改めて試験運転をすることを考慮してはどうか」提案した。

■運転士は訓練不足、疲れはてて乗務

 京滬高速鉄路には施設だけでなく、技術やサービスの問題もあると指摘。運転士の訓練期間も足りておらず、乗務時に疲労が蓄積した状態との情報も紹介した。

 京滬高速鉄路の開業時期は「政治文化の産物」と指摘。中国ではこれまで「早期実現」にとりわけ価値が置かれ、成功すれば「国家に栄誉をもたらした」と評価された。そのため行政も企業も、「とにかく急がねばならない」という風潮に染まってしまったという。

 論説は「現在の国民にとって、安全は最大の関心事」と主張。「何より大切なのは人の命」、「高速鉄道がいったん営業運転をとりやめれば関連する産業に大きな損失をもたらすだろうが、政府が国民の生命を重視するという責任ある姿勢を示せば、失うもの以上に国民の支持を得ることができるだろう」と主張した。(編集担当:如月隼人)



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