■彼らにはまだ夢を見るちからがあった

かつて大分FCには溝畑宏という強烈なストライカーがいた。独力でもゴール前に持ち込むことのできる点取り屋として、類稀なる強靭さで得点を稼いできた。現在はスタイルを一新して、細やかにパスを繋ぐサッカーのように、各部署のスタッフたちがそれぞれの特徴を生かし連係してゴールへ向かう。指揮官は青野社長。青影氏はさながらゲームを組み立てるボランチ役だ。

「当然リスクヘッジも同時進行しなくてはならないんですが、私も3万人動員できると信じてやっている。まずはそれを達成するのが先決です」と青影氏は言う。ホームゲームを効率的に運営したいならば、たとえばドームの2階席は閉鎖してしまえばどうかと訊ねると、水島氏は首を振った。「確かにそれも考えなかったわけじゃないんですが、毎回あのあたりで観戦している人もいるんです。僕たちが努力することで、好きな場所で好きなように観戦していただけるなら、そうするべきだと思います」。

一時は資金も気力も尽きたように思えた大分FCに、まだ夢を見るちからはあった。社運を賭けた7.9に向けて、まずは週明けの途中経過発表を待ちたい。

■著者プロフィール
【ひぐらしひなつ】
大分県中津市生まれ。大分トリニータ情報誌「Winning Goal」などに執筆。


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