ミドルの復権・活性化こそ日本企業の生命線―アキレス、良品計画の大ヒット商品が語るもの―早稲田大学ビジネススクール教授 遠藤 功
「ミドルが元気がない」という声を聞くようになって久しい。私自身、企業研修や経営コンサルティングにおいて、課長を中心とするミドル層と接することも多いが、確かに「おとなしい」という印象を受けることが多い。
実際に話してみると、問題意識は高く、優秀なミドルも多いのだが、少なくとも外から見る限り、ギラギラと伝わってくる「熱気」には乏しい。「秘めた強さ」はあるのだが、それが表に現われてこないのだ。
言うまでもなく、ミドルというのは組織の中核である。“フォッサマグナ”のように、ここにエネルギーが充満していなくては、地殻変動は起こりえない。
組織には「体温」がある。体温の高い組織もあれば、氷のように体温が冷え切っている組織もある。組織の中核であるミドルがどれだけの体温なのかによって、組織全体の体温が決まってくる。
いくら経営トップが熱く号令をかけても、それを真正面から受け止めるべきミドルが冷めていたのでは、経営トップの熱気は現場には伝わらない。伝わらないどころか、現場に冷や水をかけるようなことにもなってしまう。
組織の体温はミドルによって決まる。経営トップの熱気を受け止め、さらには自ら熱を発するようなミドルが、組織の中にどれだけ存在するかで、組織の体温は決まってくる。ミドルの問題は経営全体の競争力、組織の活性化と連動するきわめて重大な問題なのだ。
続きはこちら(ダイヤモンドオンラインへの会員登録が必要な場合があります)
■関連記事
・トップの使命感、設備内製、継続活動 日本にある元気な工場から学ぶ「元気の源」慶応義塾大学ビジネス・スクール校長 河野 宏和
・日本製品の品質低下をもたらした 現場の軽視と行き過ぎたコスト削減
・「現場力」とは質の高い「本社力」があってこそつくられる〜日立、トヨタ、旭山動物園に見る“旗”の意義〜早稲田大学ビジネススクール教授 遠藤 功
・成長することは、生き残ること。ユニクロ・柳井会長が選んだ「世界進出」という覚悟
・「一方的な期待」に反感を抱く中堅社員 職場を蘇らせるメンバーシップの共有法