「ミドルが元気がない」という声を聞くようになって久しい。私自身、企業研修や経営コンサルティングにおいて、課長を中心とするミドル層と接することも多いが、確かに「おとなしい」という印象を受けることが多い。

 実際に話してみると、問題意識は高く、優秀なミドルも多いのだが、少なくとも外から見る限り、ギラギラと伝わってくる「熱気」には乏しい。「秘めた強さ」はあるのだが、それが表に現われてこないのだ。

 これは日本企業、さらには日本経済にとって深刻な問題である。ミドルの沈滞は、決してその世代だけの問題と割り切ることはできない。

 言うまでもなく、ミドルというのは組織の中核である。“フォッサマグナ”のように、ここにエネルギーが充満していなくては、地殻変動は起こりえない。

 組織には「体温」がある。体温の高い組織もあれば、氷のように体温が冷え切っている組織もある。組織の中核であるミドルがどれだけの体温なのかによって、組織全体の体温が決まってくる。

 いくら経営トップが熱く号令をかけても、それを真正面から受け止めるべきミドルが冷めていたのでは、経営トップの熱気は現場には伝わらない。伝わらないどころか、現場に冷や水をかけるようなことにもなってしまう。

 組織の体温はミドルによって決まる。経営トップの熱気を受け止め、さらには自ら熱を発するようなミドルが、組織の中にどれだけ存在するかで、組織の体温は決まってくる。ミドルの問題は経営全体の競争力、組織の活性化と連動するきわめて重大な問題なのだ。

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