リヨンとボルドーが、史上初となるフランス勢同士のチャンピオンズリーグ(CL)準々決勝を30日に迎える。

 これまで両クラブには、前哨戦として日程調整の駆け引きがあった。3日前の27日にフランスのリーグ杯決勝が組まれていたボルドーが、CLで対等に戦えるよう、同じ日にリヨンの第30節(当初の予定では前日)をもってくるようリーグに申請し、それが認められた。

 もちろん実際はこれで両チームのコンディションがまったく対等になったわけではない。ボルドーはリーグ杯決勝が開催されたサンドニ(パリ郊外)まで移動し、ほぼベストメンバーを並べて、マルセイユとの激しい戦いで消耗し敗れた。CLのために主力を温存する手もあったが、疲れのたまるGKのカラソに代えてベテランのラメを起用し、残り20分でグルキュフ、シャマク、フェルナンドの中核3人を交代させるのが精一杯だった。

 一方のリヨンは最下位のグルノーブルをホームに迎える比較的楽な一戦。主力の大半を休ませながら納得のいくゲーム展開で勝利をおさめた。

 この状況でファーストレグをホームで迎えるリヨンが優位に立っているのは明らかだろう。ボルドーには、前の試合でレッドカードを受けた主将のアルー・ディアラが欠場というハンディキャップもある。

 しかし試合前日のル・パリジャン紙によると、リヨンのオラス会長は、「ボルドーが圧倒的に優位」と敵を持ち上げる。さらには日程変更の件にこだわって「思ったよりローラン・ブラン(ボルドー監督)は、自信がないようだね」と心理戦を仕掛けている。

 ブラン監督への揺さぶりはさらにつづく。アラン・ペラン前監督と同じ代理人だったブラン監督に、リヨン招聘の話があったことを明かしたのだった。「彼(ブラン)が監督初挑戦だったことであきらめたが、間違いだった。彼にはリヨンの監督をする能力が十分にあった」と語ったうえ、「今後も(招聘は)あり得る。彼がほかのクラブか、あるいはフランス代表の監督を務めたあとでどうだろう」と、ひところ盛り上がったブラン氏の“フランス代表次期監督説”まで再燃させようとした。ちなみにブラン監督はシーズン中にこの話題が出ることを極度に嫌っている。

 “策士”との評もあるオラス会長らしいコメントだが、前任者のペラン氏はもとより、ピュエル現監督にも礼を欠いた発言であるのは否めない。またブラン監督がこの程度の発言に影響を受けるとも考えにくい。いずれにせよ、フランスの新旧王者がCLと国内リーグで3週間弱に3度相まみえるという前例のない勝負には、見どころが満載なのはたしかだ。