27日にフランスのリーグ杯の決勝戦が、スタッド・ド・フランス(パリ郊外サンドニ市)で行なわれる。対戦するのは、リーグ戦でもシーズン優勝を争うボルドーとマルセイユだ。

 リーグ戦に比べてそこまで重視されないカップ戦。各チームとも、リーグの試合を優先し、カップでは戦力を温存して戦う傾向がある。とくにリーグ杯はフランス杯よりもプレスティージが下と見られがちで、その存在意義すら問う議論もある。

 これについて、決勝に臨むマルセイユのディディエ・デシャン監督はレキップ紙にこう説明した。「たしかにトロフィーのひとつ、という感じはある。負ければ、『リーグ杯なんて重要じゃない』と誰もが言うが、勝ち進んでいくと勝ちたくなるものだ。我々が優先するのもリーグ戦であるのは認める。チャンピオンズリーグの出場権を得たい。でも、この決勝で勝てば、残りの試合に勢いがつく」。

 リーグ戦は残り10試合。ボルドーとの直接対決はすでに終わり、2試合とも引き分けだっただけに、ここでライバルを倒しておいて、タイトル争いの終盤に向けて精神的に優位に立ちたいところなのだろう。

 しかしクラブにとっては、単なるリーグ戦の起爆剤にはとどまらない。というのも、マルセイユは1993年にチャンピオンズリーグを制して以来、16年間無冠がつづいているためだ。93年の国内リーグ最終戦で相手チームの選手を買収した“八百長事件”が発覚し、国内タイトル剥奪、2部降格となったマルセイユは、深刻な財政危機に陥った。96年に1部復帰を遂げて以来、これまで4度の決勝(99年と2004年のUEFA杯=現ヨーロッパリーグ、06年と07年のフランス杯)を戦ったが、いずれも敗れて準優勝に終わっている。

 フランスきっての名門で人気チームのマルセイユが、16年間も無冠とは驚くべきこと。デシャン監督も「これまでの選手や監督のレベルを見れば、異常なことだ。我々の力でこれに終止符を打ちたい」とこのチャンスをモノにする意気込みだ。