今シーズンも残り2試合となったリーグ・アン。優勝争いとともに、欧州カップの出場枠、1部残留をかけた熾烈な争いが展開するが、現在4位で、チャンピオンズリーグ(CL)あるいはUEFAヨーロッパリーグ(現UEFA杯)への出場権獲得をめざすパリ・サンジェルマン(PSG)の“工作”を疑問視する声が上がっている。

 PSGは、ポール・ル・グエン監督が今シーズン限りで退団することが決まり、現在後任を探している。白羽の矢を立てたのは、選手時代にPSGで活躍し、引退後はリザーブチームの指揮官を務めたこともある現ヴァランシエンヌのアントワーヌ・コンブアレ監督。そのヴァランシエンヌは、PSGの第37節の対戦相手だ。

 PSGは、公式サイトでコンブアレ監督とコンタクトをとったことを明らかにしている。当の監督は態度を保留しているものの、就任要請を「光栄」と語っており、前向きなようすがうかがえる。そこで、来シーズン自身が指揮を執るチームをはたして全力で倒しにいけるものだろうかという疑問はつきまとう。

 この一件にもっとも敏感な反応を示しているのが、PSGとCL出場枠を争うリヨンのオラス会長だ。ル・パリジャン紙によると、会長はリーグにPSGのやり方を非難する書簡を送っている。

 一方、コンブアレ監督はラジオ局のRTL に、来季の去就はシーズン終了後に検討すると明言しており、ホームでの最終戦は「サポーターへのプレゼント」になるような試合をしたい、と語っている。監督は2005年からヴァランシエンヌを率い、わずか2シーズンで3部から1部昇格に導いた立役者。男気あふれる人物として知られるだけに、発言に嘘はなさそうだ。

 加えて実際に戦うのは選手。ヴァランシエンヌのDFマテールは、「リヨンは自分たちの試合に全力を尽くせばいいんだ。試合に負けるとしたら選手たちの責任で、僕らのせいじゃない。僕らには残留がかかっているし、監督はそれに全力を尽くすだろう」とリヨン会長の“牽制”に不快感を示している。