1997年から2000年までアーセナルに在籍した元フランス代表MFのエマニュエル・プティ氏が11日に放映されたレキップTVのサッカー番組「トータル・フット」で、古巣のアーセン・ヴェンゲル監督に注文を出した。

 2005年のFAカップ制覇以来4年にわたり無冠のままシーズンを終えるアーセナルについて、プティ氏は「アンリの移籍(2007年)後、若手主体でその穴を埋め、チーム力は徐々に向上を見せていた。しかしもはやその移行も停滞している」と指摘する。

 こうした状況の中、プティ氏には1996年から長期政権を握るヴェンゲル監督の立場も危うくなっているとの危惧がある。「ヴェンゲルは(2007年までは)デヴィッド・デイン(元副会長)の庇護を受けていた。しかしいまでは、株主は言うに及ばず、サポーター、メディアも疑問を抱きはじめている」と不安を示した。

 ヴェンゲル監督を「とてつなく聡明でビジョンをもった人物」と評し、その哲学に理解を示すプティ氏。しかしそのこだわりも限界に達していると感じ、「ワインを水で薄めたらどうか」とフランス語特有の表現で、信念を曲げるころに来ていると主張した。

 具体的にはマンチェスター・ユナイテッドを例に挙げ、若手とベテランの共存を解決策として示す。プティ氏は、ヴェンゲル監督ならそのほどよいさじ加減ができるはずと指摘している。ただしそれには、大物選手の獲得に資金を投じなくてはならないという考えだ。

 かつてカナル・プリュス局のインタビューで、限られた予算で超大物の補強に頼らずに若手を育てるチーム作りにやりがいを感じていると語ったヴェンゲル監督だが、今回のプティ氏の指摘は、「アーセナルに何かが足りない」と感じる人々が抱く共通の見方であると言える。