リーグ・アン、パリ・サンジェルマン(PSG)のポール・ル・グエン監督が今シーズン限りで退団することが決まった。5日付のレキップ紙がこの可能性が高いと報じ、その後ル・パリジャン紙が本人と接触してこの報道を裏付けたあと、同日中にクラブが公式サイトで正式発表に踏み切った。

 ル・グエン監督は2007年1月、成績不振で解任されたギィ・ラコンブ氏(現レンヌ監督)のあとを受けて就任。そのシーズンと翌シーズンはチームが降格の危機に立たされたが、今季は立て直しに成功し、一時は首位争いにも加わった。第34節のレンヌ戦で敗れて優勝の可能性は遠のいたものの、現在4位。残り4試合でチャンピオンズリーグ出場権獲得も可能というタイミングで今回の決定に至ったのは意外な感がある。ル・グエン氏は2005年にリヨンで3シーズン連続の優勝を果たしたあと、オラス会長の慰留にもかかわらず辞任を決めたことがあるが、今回は必ずしも辞任を望んでいなかった模様だ。

 レキップ紙によると、PSGのバザン会長とル・グエン監督の間で3日夜、今シーズン終了とともに満了する契約の更新について話し合いがもたれたが、物別れに終わった。契約を更新しない結論に至った理由については複数考えられるとされる。

 ひとつは、来季に向けた補強予算の削減。ビルヌーブ前会長が今季開幕前に大幅に予算を増額して大物選手の獲得に乗り出したのが株主の不興を買い、前会長は解任され、筆頭株主のコロニー・キャピタルを率いるバザン氏が自ら会長に就任した時点でこの路線変更がとられていた。

 さらに、ビルヌーブ前会長の解任は、ル・グエン監督から発言権を奪うことにもつながった。クラブ首脳は、スカウト部長のアラン・ロッシュ氏と広報部長のブルーノ・スクロペタ氏を残留させることにこだわったが、両者とル・グエン監督は対立関係にあったとされる。

 チームが好成績をあげたにもかかわらず、株主の意向で監督の契約延長が行なわれない事態は、マルセイユのゲレツ監督につづくケースとなり、サポーターの反発を招きそうだ。マルセイユは早々とデシャン氏を後任に決めて事態の収拾に成功したが、PSGの場合、後任の決定に時間がかかるおそれがある。レキップ紙は、2005年以来ヴァランシエンヌの監督を務めているアントワーヌ・コンブアレ氏が有力と報じている。コンブアレ氏は選手時代の1990年から95年までPSGでプレーし、ル・グエン氏とはチームメイトだった。監督としては99年から4シーズンにわたりPSGのリザーブチームを率いたことがある。