華麗なフットボールと大勝。現代フットボールではなかなか繋がりにくいこの2つの要素だが、バルサはそれを実践して見せた。しかも、宿敵R・マドリー相手に、しかもアウェイで6得点。R・マドリーはフロレンティーノ・ペレス時代、ジダン、フィーゴ、ベッカム、ロナウドなど世界のスーパースターを揃え、“銀河系集団”を作り上げたが今のバルサは少し状況が違う。

 確かにエトー、アンリ、メッシと名前だけを見れば“銀河系集団”と比較しても劣らないだろう。しかし、注目したいのが対R・マドリー戦の11人の内ビクトル・バルデス、チャビ、イニエスタ、プジョール、ピケ、メッシの6人が下部組織いわゆるカンテラ育ちなのだ。しかも、そのほとんどが中心選手となっている。さらに、試合終了間際にはボージャンとセルジ・ブスケツも揃って登場。自チーム出身で固めたチームは、R・マドリーを翻弄した。

 カルデロン元会長とミヤトビッチ氏が新たなスポーツプロジェクトを実行するはずだったR・マドリー。サポーターに約束していた獲得候補選手も獲れず、3億ユーロをかけて作り上げたチームは崩壊していった。一部のスペインメディアでは、「虚像の終焉」など結果主義に走り、表面上では連勝と勢いだけが取り上げられたチームも“本物”の前では何もできなかったという皮肉が込められた書き方さえされているほどだ。もちろん、バルサは良いプレーはしているもののまだタイトルを獲ったわけではない。3冠を達成すればお見事となるがやはり結果が出なければ、「内容だけ」となってしまう。“本物”となるまであともう少しの辛抱だ。

(スペイン通信)