リーグ・アン第34節(2日、3日)はボルドーにとって理想的な結果をもたらした。首位マルセイユが引き分け、3位リヨン、4位パリ・サンジェルマン(PSG)が相次いで敗れた中、ボルドーは残留にかけるソショーを3―0と寄せつけず、マルセイユに勝ち点で並ぶとともに、リヨン、PSGとの差を拡げることに成功した。

 得失点で2位のままだが、その差はわずか1点。マルセイユが残り試合に全勝したとしても、得失点差を逆転して自力優勝という可能性さえ出てきた。試合後のブラン監督はレキップ紙に「(前節の)レンヌ戦でエネルギーを費やしたから、この試合はリーグ杯決勝のように序盤で点を取って楽に運ぶ必要があったが、その通りになった(7分に先制、14分に追加点)」と淡々と振り返る。4月25日のリーグ杯決勝は、栄冠だけでなく、試合運びのモデルを体得する機会となったようだ。リーグ杯決勝に伴うハードな日程を乗り切ったのも大きい。

 マルセイユの連勝が「6」でストップした一方で、ボルドーは「7」に伸ばした。しかしブラン監督は「ライバルに対する精神的な優位は何もない。この調子を維持することが重要。まずは体力を回復することだ」と慎重かつ冷静な態度を崩さない。

 選手たちにも同じ考えが伝わっている。「この試合では、第一の目標としてリヨン、PSGとの差を拡げるほうを意識した。マルセイユと並んだのは、あくまでその結果。これでチャンピオンズリーグの出場権はほぼ得られた。現時点ではマルセイユのことは考えない。次のヴァランシエンヌ戦(第35節)でいい結果を出せたら、タイトルを狙いに行けるかも知れない」というMFアルー・ディアラの言葉からも落ち着きが感じられる。

 ボルドーは2月のマルセイユ戦(第23節)あたりから、タイトルを意識して調子を崩した(5試合で1勝2敗2引き分け)時期がある。一時は5位に転落し、優勝戦線から脱落した。その後、監督も選手も一様に「タイトルは考えない」と自分たちに言い聞かせるかのように執拗なほど繰り返した。終盤のもっとも大事なときに来てライバルがつまずく中、7連勝と勢いに乗っているのは、この“自己暗示”によるメンタル管理が功を奏しているのかも知れない。

 他のライバルの自滅で、優勝争いはマルセイユとの一騎打ちの様相となった。そのマルセイユは、ニース、リヨン、レンヌといった難敵との対戦を控える。ブラン監督は意識的に否定しているが、精神的な優位は明らかだ。