「打撃ができない」という批判的な声に対し、マガリャエスはTUFでは誰も見せることがない、ジャンピングガードからの寝技を披露した

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TUF史上初、黒帯のブラジリアン柔術世界王者の肩書を持つ参加者ヴィニー・マガリャエス。ヒクソン&ホイラー・グレイシーが築いたグレイシー・ウマイタの支部グレイシー・チジューカで育った彼は、現在、チーム・クエストでMMAファイターになるためトレーニングを積む。TUFシーズン8、第7週。世界を極めた寝技が、ついにお目見えすることとなった。

ロリ・デルガドを判定で下したジュニー・ブローウィングに対し、コーチのフランク・ミアは「ロリ相手に3Rにもつれ込むとは――。お前はもっとできると思っている。これからは、しっかりと戦え」と厳しい言葉を投げかけた。とはいえブローウィングの勝利で、チーム・ミアは対戦カードの決定権を維持したまま次戦を迎えることができる。


チーム・ノゲイラのトレーニング・セッション、鬼ごっこのような要素を加え、笑顔が絶えない。「時には楽しむことが必要だ。ハード・トレーニングを積んでいるときこそ、この楽しむという感覚が重要なんだ」とノゲイラ。

一方、チーム・ミアのトレーニング・セッションにはヴァンダレイ・シウバのコンディショニング・コーチがやってきた。チーム・メンバーは、シュノーケルをつけ、鼻を塞いでランニングマシーンや自転車漕ぎを行う。

極めつけはカーディオ・トレーニングが終わった直後に、氷水に浸かるというもの。「凍えてしまうよ」と、言われるがままに厳しいトレーニングを終えたヴィニー・マガリャエスは語った。

そのマガリャエスに対し、ミアは「君のグラウンドは凄い。ノゲイラ以上だろう」と語りかける。13歳から柔術を始めたマガリャエスはノゲイラが優勝できなかった柔術世界大会、黒帯で頂点に立っており、満更でもない笑顔を浮かべていた。

そのころ、ホームではノゲイラの誕生日を祝うためにチームの面々がケーキ作りに勤しんでいた。「チームがタイトな関係になっている」とご満悦なノゲイラや、チーム・メンバーを横目にチーム・ミアのショーン・ネルソンは「サッ○ス。俺たちは戦うためにここにいるんだ」と苦々しい表情を浮かべる。

マガリャエスも「あんなのは偽善だ。チームじゃない、自分が大切なんだ。一緒に寝起きして、シャワーを浴びる、それが何だって言うんだ」と言いきった。そのマガリャエスは、ライトヘビー級3試合目のプレリミナリーファイトで、ジュールス・ブルーシェスと対戦することが決まった。

「グラップリングは凄いかもしれない。でも、これはMMA。パンチがあるんだ」とブルーシェス。シリーズ一、二を争うエリート・ファイターに敵意をむき出しにする。

「ヴィニーの実力は認める。でも、少しおしゃべりだね」とマガリャエスを評したノゲイラ、この時点では非常にクールにコトの成り行きを見守っていたが、チーム・メンバーから「ヴィニーは寝技なら、君より自分の方が上だと言っているよ」と耳打ちされると、その穏やかな表情が一変した。

「おい、言いたいことがあるなら、直接、俺にいえばいいじゃないのか?それを陰で言いふらして。俺は君の力を尊重してきたけど、どういうことだ?」、「俺はそんなこと言っていない」。ポルトガル語で荒々しい対話が続いたが、ノゲイラは「今日からは、敵だからな」という言葉を残して、マガリャエスの前から立ち去った。「別に何とも思わない――。しょうがないよ」、言葉とは裏腹にマガリャエスは同様を隠せない様子で、そんな彼を見送るしかなかった。

このやりとりがあったからか、ブルーシェスへの指導に一層の熱が入るノゲイラ。マガリャエス対策として、右に回りこみながらの右ストレート、そしてフックを叩き込む作戦を授ける。「ジュールスはパンチ力がある。ハートも強い」とノゲイラが言えば、ブルーシェスも「ヴィニーは確かにベスト5のブラジリアン柔術家だろう。でも、これはMMA。わざわざグラウンドで戦う必要はないんだ」と自信の表れともいえる言葉を残した。