石坂浩二さん

 各界の皆さんにお薦めの本を紹介していただく特集「あなたに贈る本」は今回、俳優の石坂浩二さんに、若者たちへ、いま手にとってみてほしい本を聞きました。

石坂浩二さんからのメッセージ

 人間が生命をつないできた長い時間、言葉が傍らにあったことに想(おも)いをはせてください。いつか本は滅びるかもしれない。でも、私は人類が、埋もれたものを探るようにページを繰ることに喜びを感じる時代が来ると信じています。

石坂浩二さんお薦めの本『カフネ』阿部暁子

講談社 1870円

 主人公が主観的に語っていく彼女がもう一人の主人公となり、いつのまにか周囲を客観的に語る魅力ある人物となって読む者の心に拡(ひろ)がってくる。キャラクターや威力は新しくはないが、二人が作る世界は切なくうれしい限りである。

『バリ山行』松永K三蔵

講談社 1760円

 バリ山行とは登山道ではなく正規ルートをはみ出した登山をいう。ルール違反といわれるこの魔力に取りつかれた男と、その道のベテランが現実の社会で置かれ、まるで先は読めない。語り口の見事さと構成のしたたかさを味わいたい。

『人類の祖先に会いに行く』グイド・バルブイアーニ 栗原俊秀・訳

河出書房新社 2475円

 300万年前、「ルーシー」は樹(き)から落ちて亡くなったらしい。近代までの15人を紹介し、人間はなぜ人間になったのかの歴史をひもとく。“人間は必要に応じて変化してきた。人間には種は一つしか存在しない”。この言葉が胸にひびく。

お話を聞いた人石坂浩二(いしざか・こうじ)

 1941年生まれ。慶應義塾大学在学中の1962年に『七人の刑事』でデビュー。NHK大河ドラマ、市川崑監督作品など映画・ドラマに多数出演。

=朝日新聞2026年9月10日掲載

お知らせ

◆特集「あなたに贈る本」は、新聞や出版、書店業界の情報紙などを発行している文化通信社(東京都千代田区神田錦町)と協力して作成しています。各界のみなさんが薦める本をまとめた「先輩の本棚」「読書のススメ」、子ども向けの絵本などを紹介した「ボクニキミニ」という同社発行の冊子から選んで、毎月第3木曜日にお届けします。著名人が本への思いなどを語るロングインタビューは随時掲載します。
 本の価格は税込みです。
 文化通信社は、本欄で紹介している著名人が選んだ本や絵本を並べた私設図書室「ほんのもり 駒込本家」を東京都豊島区駒込で運営しています。築65年の古民家を改装し、コーヒーを楽しみながら森の音に包まれて黙読するための空間です(100分間入れ替え制・ウェブ予約が必要)。同社が運営するオンラインコミュニティー「ほんのもり」の会員は無料または割引料金で利用できます。このコミュニティーでは、読書好きが交流するイベントや「駒込本家」で開催される読書会にも参加できます。いずれも詳細はこちらのURLでご確認ください。