【山口 伸】もうmixi、モンストだけの会社ではない…!SNSでもゲームでもない、絶好調「MIXI」の意外な稼ぎ頭
MIXIの26年度第1四半期の業績は、売上高471億円(前年同期比50.3%増)・営業利益54.3億円(同102.8%増)の増収増益となった。同社は通期売上高を1850億円と見込んでいる。
日本を代表するSNS「mixi」を生み出したMIXIは、2010年代にスマホゲーム「モンスターストライク」をヒットさせ、売上高は一時2000億円を突破した。だが、モンストの失速により売上高は1000億円台まで縮小した。
このまま失速すると思われたが、20年代から再び事業規模を拡大。今期の業績が示すように、再び2000億円台を超えようとしている。その牽引役はSNSでもスマホゲームでもない。MIXIは”意外な”稼ぎ頭で再浮上している。
前編記事『モンスト失速でも株価上昇中の「MIXI」…SNSでもゲームでもない"意外な事業"で復活していた』より続く。
MIXI復活を支える2つの新事業
mixiとモンストの事業規模縮小、mixi2の不発に直面するMIXIだが、近年は復活を遂げようとしている。現在、同社は主に(1)デジタルエンターテインメントと(2)スポーツ、(3)ライフスタイル(4)投資の4事業を展開している。
(1)デジタルエンターテインメント事業はモンストの課金収入やグッズ販売を収入源としており、他社IPとのコラボで好調な年もあるものの、近年の傾向としては減収が続く。(4)投資事業はスタートアップやVCに出資する事業であり、規模は小さい。そのなかで近年、成長しているのが(2)スポーツ事業と(3)ライフスタイル事業だ。
スポーツ事業はギャンブルに関するベッティング事業と観戦事業に分かれる。ベッティング事業では、2019年に競輪・オートレースの重勝式車券を購入できる「チャリロト」の運営会社チャリ・ロトを子会社化したほか、競輪・オートレースのアプリ「TIPSTAR」をリリースした。
M&Aで成長したスポーツ事業
TIPSTARは投票アプリと表記しているが、公営ギャンブルと同じくTIPマネーを使用して購入した券が当たった場合、払戻金を受け取ることができる。また、アプリではレース中継を見ることも可能だ。TIPSTARはコロナ禍の巣ごもり需要で利用者が増加した。登録者数は190万人で、月間アクティブユーザーは20万人だという。
競馬や競輪、ボートレースなどの公営ギャンブルの市場規模は90年代以降、縮小し続けたが、オンライン化により2010年代から再び成長している。家に居ながらにして賭け事ができる手軽さが利用者を集めているからだ。
25年にはベッティング事業を展開する豪PointsBet Holdings Limitedを子会社化し、スポーツ事業はさらに拡大した。
観戦事業では2019年にBリーグ「千葉ジェッツ」の運営会社を子会社化し、22年にはJリーグ「FC東京」の運営会社を子会社化した。こうした近年の積極的なM&Aはモンストで得られたキャッシュフローを原資としている。
特にBリーグは23年以降、W杯を背景に女性ファンを獲得し、試合の入場者数が拡大している。千葉ジェッツはチームが好成績であるほか、『東京リベンジャーズ』などのアニメとのコラボ企画がヒットし、チケットと物販の売上を伸ばした。こうした背景から、スポーツ事業は25年3月期に黒字化を達成している。
写真アプリが好調なライフスタイル事業
ライフスタイル事業ではmixi、mixi2、「家族アルバム みてね」などのアプリを展開している。前半で示した通りSNS事業は不調だが、「みてね」の関連事業は好調だ。
「みてね」は写真を家族と共有できるアプリだ。写真は無料版でも無制限にアップロードでき、コメント記入やお気に入り保存などの機能がある。有料版では紙のフォトブックを郵送するサービスもある。さらにプレミアム版では長い動画のアップロードや、パソコンからのアップロードが可能になる。
「Google フォト」のように写真をクラウドで保存するアプリは標準的にスマホに搭載されているが、家族間で共有するには自分自身で設定しなければならない。しかもOSが異なれば、その設定はより煩雑になる。「みてね」はアプリユーザー同士で共有できる点が強みであり、孫の顔を見たい高齢者世代におけるスマホの普及も追い風となったようだ。
「家族アルバム みてね」の利用者数は今年5月に3000万人を突破した。英語や中国語、韓国語に対応しており、利用者の4割が海外で、全体の2割が北米だという。海外では「FamilyAlbum」の名称で展開している。
国内と同様、手軽に画像を共有できる点やプライバシー保護のため家族内に公開範囲を限定できる点が強みとなったようだ。海外ユーザーの獲得に向けて宣伝費を投じているため、ライフスタイル事業は赤字が続いていたが、26年3月期に黒字化を達成した。
現状、利益ベースではモンスト一本足打法の状況が続く。だがスポーツ事業とライフスタイル事業は黒字化を達成し、今期は収益が伸びる見込みだ。モンストを原資として他事業をどこまで伸ばせるか、MIXIの多角化戦略から目が離せない。
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