準決勝で智弁和歌山に敗れ、横浜・織田は小林鉄(手前)と抱き合い涙する(カメラ・義村 治子)

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◆第108回全国高校野球選手権大会第14日 ▽準決勝 智弁和歌山7―1横浜(20日・甲子園)

 28年ぶりの夏の甲子園制覇を狙った横浜(神奈川)は、準決勝で智弁和歌山に逆転負け。最速157キロの今秋ドラフト1位候補右腕・織田翔希投手(3年)は、今夏初のアーチを浴びるなど2回1/3を投げ8安打4失点でKOされた。それでも、甲子園歴代最速の156キロをマークするなど、日米から大きな注目を集める逸材に変わりはなく、今後NPBに加えて米大リーグ挑戦も選択肢に入れながら進路を定めていくことが明らかになった。

 日本一を目指した夏が終わった。こらえきれない悔しさが涙としてこぼれ落ちても、織田は最後まで“横浜のエース”の振る舞いを貫いた。涙に暮れるナインの肩を抱き、ねぎらい、感謝を伝えながら引き揚げた。強打の智弁和歌山に屈して4強で敗退。「この試合は絶対に忘れない。支えてくださる方たちに勝って恩返ししたいと掲げていたけど、優勝することができなかった。ここまで来られたのは皆さんのおかげ。感謝したい」と言葉を紡いだ。

 聖地を支配してきた右腕が捕まった。2回まではピンチをしのいだが、3回に今夏初被弾となる3ランなどで4失点。2回1/3での降板は甲子園で自身最短だった。「すごく情けなくて、チームに悪い流れをもたらしたまま、マウンドを降りてしまった。最後の最後に何をしているんだろうと」。9回123球で完封した準々決勝から中1日だったが、疲労は言い訳にしなかった。降板後は「自分が(気持ちで)落ちていてはダメ」と、最前列に立って味方を鼓舞したが白星には届かなかった。

 節目のタイミングを迎え、日米から注目される進路も進展していくことになる。試合後、織田自身は進路について明言を避けたが、村田浩明監督(40)は「これから相談する。そっち(メジャー)も日本も視野に入れながら。本当にどうするのかというところを、大会が落ち着いたので決めていきたい」と方針を明らかにした。

 頂点には届かなかったが、今夏の織田はドラフト1位候補の評価にふさわしい投球を見せてきた。沖縄尚学との1回戦は、NPB全12球団とドジャース、ヤンキース、メッツなどが視察。2回戦の日南学園(宮崎)戦では、救援登板で甲子園最速となる156キロをマークした。花巻東との準々決勝では、156キロを7度計測する圧巻投球。世代ナンバーワン右腕の動向が、日米でさらに注目を集めていくことは間違いない。

 17日に亡くなった元監督の渡辺元智さん(享年81)に弔いVは届けられず。織田は「まだ野球人生が終わるわけではない。しっかりと成長した姿を見せられるように」と、さらなる飛躍での恩返しを約束した。2番手で登板した小林鉄三郎、4番の川上慧ら2年生には「あと1年ある。結果(夏4強)を超えられるように頑張ってほしい」と願った。

 甲子園通算9勝は、横浜の投手では松坂大輔の11勝に次ぐ単独2位。喜びも悔しさも味わった聖地には、「すごく成長させられた場所」と感謝した。数々の衝撃を残した“大怪物”が、甲子園に別れを告げた。(小島 和之)

 〇…横浜・村田監督は智弁和歌山の強さを認め、敗戦を受け止めた。「この負けからまたはい上がっていくのが、横浜高校の歴史と伝統だと思う。(17日に亡くなった)渡辺監督さんも『そんな甘くねえぞ』というメッセージをくれているのかなと思う」と語った。また、エース・織田、主将の小野舜友、プロ注目の遊撃手・池田聖摩ら3年生に対し、「3年生がここまでやってくれなかったら甲子園に来ていない。感謝しかない」とねぎらった。

 ◆記録メモ

 ◆横浜・織田が春夏の甲子園で初被弾 横浜・織田翔希は先発で2回1/3を投げ、被安打8、被本塁打1、4失点で降板。被本塁打は今夏、地方大会も含めて初。春夏の甲子園でも初。甲子園通算15登板目で、先発で2回1/3は、25年春2回戦・対沖縄尚学の2回2/3より早い、自身最速降板。1イニング4失点、1試合4失点は同戦(3回)以来、2度目の自身ワースト・タイ記録。3回の1イニング被安打5本(過去3本が3度)、1試合被安打8本(過去7本が3度)は、ともに甲子園自身ワースト記録。3回は4連打されたが、これも昨夏の準々決勝・対県岐阜商4回の3連打を上回りワーストとなった。