藤井聡太王位、防衛への王手ならず 異例の“2時間遅れ”の死闘…伊藤匠二冠に敗れシリーズは2勝2敗のタイに/将棋・王位戦第4局

将棋の伊藤園お〜いお茶杯第67期王位戦七番勝負第4局が8月18、19日の両日、長崎市の「ガーデンテラス長崎ホテル&リゾート」で行われ、防衛と7連覇を目指す後手の藤井聡太王位(竜王、名人、棋聖、棋王、王将、24)が挑戦者の伊藤匠二冠(叡王、王座、23)に143手で敗れた。この結果、両者のシリーズ成績は2勝2敗となった。
伊藤二冠の先手番で幕を開けた本局は「相掛かり」の戦型へ。序盤から挑戦者の積極性が目立つ仕掛けとなったが、藤井王位も深く時間を使うかと思いきや臆することなく強気に応じ、1日目の午前中だけで68手まで進むというハイペースな進行となった。しかし、昼食休憩明けからは一転して盤上の動きがピタリと止まる。互いに技の掛け合いから後手の攻め、先手の受けという構図になり、激戦に向けて慎重に読みを入れる長考合戦へと突入。藤井王位は、伊藤二冠の左金を取りにいく強烈な打ち歩を放ち、これを封じ手として1日目の対局を指し掛けとしていた。
迎えた2日目は、未明に宿泊施設で火災報知器が作動するトラブルが発生。関係者が一時避難する事態となり、後に誤作動と確認されたものの、対局者への影響を考慮して対局再開が予定より2時間遅れるという異例の事態となった。
予想外のトラブルに見舞われながらも、盤上は中盤の息詰まるねじり合いが長く続き、形勢不明の難解な局面が連続した。ABEMAの中継で解説を務めた王位経験者の木村一基九段(53)も「タイトル戦で稀に見る接戦」と評価するほどの極限の攻防。徐々に後手の藤井王位ペースで進行していると見られていたが、じっと力を溜めていた先手の伊藤二冠に、最終盤で目の覚めるような「銀のタダ捨て」を放たれてしまう。
この絶妙手から形勢は一気に伊藤二冠側へと傾き、藤井王位は一気に流れを奪われる形に。夜戦に及ぶ過酷な死闘の中、最後まで粘り強く勝機を探ったものの、逆転には至らず無念の投了を告げた。

難局を制した伊藤二冠は、「判断の難しい局面が続き、自信がなかった。形勢判断が難しかったが、そういう意味では充実感のある内容だった」とコメント。次戦へ向けて「タイに戻すことができたので、第5局もしっかり準備をして臨みたい」と話した。
一方、藤井王位は「かなり判断の難しい将棋で、駒得ではあるが馬の働きが弱く局面の急所を掴むのが難しい将棋だと感じていた」と総括。「第5局は一週間後とすぐに続く形なので、切り替えて臨めたら」と次戦を見据えていた。
藤井王位が防衛に王手をかけるか、伊藤二冠がタイに戻すかというシリーズのゆくえを左右する大一番は、挑戦者に軍配が上がった。再びスコアを五分に戻し、いよいよ終盤戦へと向かう第5局は、8月26・27日に徳島市の「渭水苑」で予定されている。
(ABEMA/将棋チャンネルより)
