「胴元が絶対に損をしない」からくり…「胴元の儲けを保証」する、期待値のウラにひそんでいる数字とは? じつは、「一番巧妙」な、意外な胴元の正体
「勝負」を支配する〈数の法則〉がある!
ギャンブルの勝ち負けは「運の良し悪し」に左右されるイメージがありますが、じつは確率・統計の知識に基づく「期待値的に正しい」賭け方があります。
胴元はなぜ、「必ず儲かる」のか? パチンコ店はなぜ、たまった玉を「いったん換金しろ」と言うのか? 「本命」と「大穴」、どちらで勝負すべきか? 「必勝戦術」のあるゲームとないゲームはどう違うのか?……
そんな素朴な疑問から、世に蔓延する「必勝法」のウソをあばき、「数学的な裏づけに基づく賭け方」を伝授する話題沸騰の書『ギャンブルのからくり 確率・統計であばく「必勝法」のウソ』(講談社ブルーバックス)が登場しました。
ブルーバックス・ウェブサイトでは、この書から興味深いトピックの数々をご紹介していきます。今回は、前回ご説明した期待値と対をなす「控除率」についての解説をお届けします。
*本記事は、『ギャンブルのからくり 確率・統計であばく「必勝法」のウソ』(ブルーバックス)を再構成・再編集したものです。
胴元は「儲け」を必要とする。当然ながら
前回の「期待値」に続いて、「控除率」についてみていこう。
控除率とは、100%から期待値(%)を引いた値のことをいう。すなわち、期待値と控除率を加えると100%となる。
これが先に、期待値と控除率が「対(つい)になった概念」であり、 一方を理解できれば、他方は自動的に理解されると書いた意味である。
控除率(%)=100%−期待値(%)
(期待値+控除率=100%)
通常の賭け事(ギャンブル)には、「胴元(ハウス)」とよばれる主催者がいる。当然ながら、胴元は儲けがないと賭け事を継続的に催すことができない。
そこで、一定の割合が収益として計上されるように、賭けのルール、賭け方、賭け額などを設定する。いわゆる「テラ銭」とよばれる収益のことである。
ちなみにテラ銭は、かつて寺が 「富くじ」を主催したときに使われた言葉である。
この、賭けられた金額に対する収益の割合(の平均、理論値)が、すなわち「控除率」である。胴元が一定割合を「控除」していくから、控除率とよばれる。
前回ご紹介したダイス・ゲームは91.667%という期待値だったが、このゲームの控除率は8.333%(=100%−91.667%)である。
まれに期待値が100%を超えるケースでは、控除率はマイナスの値をとる。たとえば、108.333%という期待値の賭けの控除率は、マイナス8.333%(=100%− 108.333%)である。
このように、期待値と控除率はコインの表裏のように切り離せない関係になるので覚えやすいだろう。
「ビルト・イン」とは
胴元のテラ銭の取り方、つまり「控除」の方法には2種類ある。
1つは「勝った者から一定率を取る(たとえば、「丁半ばくち」で勝った側の5%を胴元が取る)」場合で、もう1つは、控除率が「ゲーム自体に組み込まれている」場合である。後者の控除の仕方を、専門用語で「ビルト・イン(built in)」 されていると言う。
控除率がビルト・インされている例として、「ブラックジャック」が挙げられる。ブラックジャックは、(通常時において)親のほうが有利になるようにルール自体が決められているのだが、プレイする人の感覚では、これを五分五分の勝負だと思ってしまうのがミソである。
わずかな控除率でも、多くの回数プレイされることで胴元には一定の収益が見込めるのである。
「払い戻し倍率の加減によって、控除率が確保されている」のが、競馬や競輪などの、いわゆる公営ギャンブルである。
公営ギャンブルの場合、単純に言うと次のような方法をとる。
まず、総売上額から一定率の金額を天引き(控除)し、残りを当たった投票数で割って、1票あたりの払い戻し額を決める。10円単位未満を切り捨てる。
このやり方であれば、胴元側には危険負担が生じない。
たとえばカジノのギャンブルでは、カジノ側が負ける日もあり、つまり、カジノは胴元側が危険負担をしているわけである。
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【続き】期待値は何%…? スロットマシンで100ドル投資。90ドルに減って120ドルに増え、10ドルポケットに残して全部賭けたら、75ドルに大損。…ポケットの10ドルも合わせます
