税務署から調査の連絡が来る時期によって、その後の展開が大きく変わるとしたらどうだろうか。特に個人事業主や経営者にとって、7月から8月にかけて届く一本の電話は、決して他人事では済まされないものだという。

脱・税理士の菅原氏は、その理由を税務署の内部事情から解き明かす。税務署の事業年度は7月に始まり翌年6月に終わる。年度替わりのタイミングで人事異動が行われ、着任したばかりの調査官たちは、年間の調査件数というノルマを抱えることになる。

菅原氏によれば、調査官にとって最も評価につながるのは、単なる追徴課税ではなく重加算税を取ることだという。意図的な脱税と認定されるかどうかで、調査官自身の実績の重みが変わってくるというのだ。建前は正しい会計処理の確認にあるとしながらも、実際には疑いの目を持って乗り込んでくる側面があると菅原氏は語る。

さらに、調査先はデータベースをもとに選定され、年度の早い時期に選ばれる案件ほど、前任者からの引き継ぎなどですでに目星がつけられている可能性が高いという。逆に年度終盤に選ばれる案件は、件数を満たすための側面が強いとも説明されている。調査官自身についても、過去の所属部署や経歴を調べられる仕組みがあり、相手の経験値によって身構え方が変わってくるという裏側も明かされている。

顧問税理士の有無によっても、その後の流れは大きく変わるという。税理士がついていれば税務署からの連絡は基本的にそちらへ入るが、ついていない個人事業主は本人へ直接電話が来ることになり、対応の難しさが増すと菅原氏は指摘する。任意調査という建前上、日程の延期は可能でも、連絡そのものを拒み続けることはできないという点も見過ごせない。

また、修正申告をどの段階で行うかによって、その後にかかる過少申告加算税や延滞税の重さには明確な差が生まれるとされる。電話を無視し続けた場合のリスクや、税理士との信頼関係が崩れてしまう場面についても触れられており、対応の質を左右する要素は一つではないと菅原氏は語る。何を、どのタイミングで、どう対応するかという一連の判断が、結果を左右する鍵になるようだ。