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東風ホンダで製作している『e:NS2』がベース

3月5日、ホンダは2026年春に発売予定のアッパーミドルクラス新型EV『インサイト』の事前情報を公開した。

【画像】新型『ホンダ・インサイト』先行公開!4代目はアッパーミドルEV 全76枚

メディアに向けた事前取材会で、商品企画担当の小田建氏と開発責任者の小池久仁博氏に話を伺えたので、(オフレコではない)裏ネタ的な話を紹介しておこう。


新型ホンダ・インサイトの開発責任者、小池久仁博氏。    平井大介

新型インサイトは、中国の東風汽車とホンダの合弁会社である東風ホンダで製作している中国製の『e:NS2』がベースだ。もしくは、e:NS2の日本仕様とも言い換えられるだろう。

インサイトのスペックなどの詳細は未発表だが、小池氏は「e:NS2と基本的に変わらない」と語っており、違いはステアリング位置や車名エンブレム、そして日本の保安基準に合わせた小変更といったところだろう。

では、なぜ『e:NS2』ではなく『インサイト』という車名になったのか? それは、歴代インサイトのホンダにおける立ち位置にあったようだ。

1999年、ホンダ初の量産ハイブリッド車として初代インサイトが誕生し、2009年に登場した2代目は実用的な5ドアハッチバックのハイブリッド車に。2018年の3代目は上級4ドアセダンとなり、ハイブリッドシステムも2モーターに進化した。

その後、N-VAN e:とN-ONE e:で軽EV市場に参入し、2027年度からは『ゼロ』シリーズで日本のEV市場を牽引しようとするホンダが、ジャパンモビリティショー2025でお披露目した『スーパーワン』とともにホンダEVの認知を高める存在となるクルマとして、この『インサイト』を選んだというわけだ。

つまりホンダにとってインサイトとは、歴代『電動化の先駆者(車)』として時代のニーズを洞察(INSIGHT)してきた歴史ある特別なクルマであり、その名前を継承させることで、このクルマに対するホンダの思い入れを表しているのだろう。ちなみに新しい車名の候補もあったそうだが、インサイトに落ち着いたようだ。

サイズ的はCセグでも内容はアッパーミドル

日本仕様のスペックは発表されていないが、中国仕様のe:NS2は全長4787mm、全幅1838mm、全高1570mm、ホイールベースは2735mm。サイズ的には、全高こそ少し低いがCR-Vとほぼ同じ。だがCR-VはCセグメントと謳っているのに対し、このインサイトはアッパーミドルと謳っている。

その違いはサイズによるものではなく、インテリアヒーターやボーズ・サウンドシステム、アロマディフューザーにアンビエントライトなど、充実した装備によるポジショニングの差でもあるという。実際、EVであることを考慮しても、価格帯はCR-Vよりは上になることは間違いなさそうだ。


新型ホンダ・インサイトで商品企画を担当した小田建氏。    平井大介

また、新型インサイトは3000台の限定販売。これは、日本市場のEVの普及度合いや、アッパーミドルEVのボリュームを考えると妥当ではないかと、比較的堅めの数値として、この台数を決定したという。現時点ではなお、3000台以上のオーダーがあっても追加生産はしないとアナウンスされている。

ちなみに、中国におけるe:NS2の車両価格は350〜360万円くらいからだという。もちろん日本では輸入車となるし、為替の問題や装備の違いなどもあるから、それよりは高額になるだろう。それでも日本ではライバルとなるトヨタbZ4X(FWDは480万〜550万円)や日産アリア(同659万100〜738万2100円)、テスラ・モデルY(RWDは531万3000円)と勝負できる価格を検討しているようだ。

中国製だが、中国任せではない

新型インサイトは中国の東風本田製とはいえ、企画や開発、そしてデザインまで中国で行われているわけではない。

中国におけるホンダの四輪事業のR&D、生産企画、品質管理などはホンダ・モーター・チャイナ・テクノロジー(HMCT)が担っているが、栃木の本田技術研究所にはHMCTの支部的部署があり、そこでコントロールしている。


東風本田製とはいえ、全てが中国で行われているわけではない。    平井大介

今回のインサイト(e:NS2)も、企画は中国でスタートし、デザインも中国で手がけているが、最終決定は日本で行っている。

本来はCセグメントのハッチバックとして作られたモデルだが、世界的に続くSUVブームを考え、クロスオーバー的なモデルのほうが販売に繋がるということで、こうしたスタイリングになったという。デザイン的には飛びすぎず、でもエンジン車と同じではないといったスタイリングは、初めてEVを選ぶユーザーにはちょうど良いのかもしれない。

日本におけるターゲット層は50代以上、それも男性が多いと目されている。これは、アッパーミドルEVのオーナーには50代以上が多いこと、またアッパーミドルEVの多くはSUVで、これはセダンからも乗り換えやすいことなどから考慮されているようだ。

セリングポイントは『軽快な走り』と『充実した装備によるプレミアムな移動体験』。車両重量はけっこう軽く、ホンダ車らしい、意のままのドライブができるというから楽しみだ。