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 マーゴット・ロビー主演『嵐が丘』と、注目のオリジナルアニメーション映画『GOAT(原題)』の対決は、2度目の週末を終え、それぞれ1勝ずつの結果となった。

参考:マーゴット・ロビー主演『嵐が丘』賛否両論も北米No.1 『クライム101』など話題作が混戦

 2月13日に北米公開を迎えたこの2作は、かたやエミリー・ブロンテの同名文学を鬼才エメラルド・フェネル監督が新解釈で映画化した悲劇のラブストーリー、かたや『スパイダーマン:スパイダーバース』シリーズや『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』(2025年)のソニー・ピクチャーズ・アニメーションによるスポーツコメディという好対照。数年前なら、どちらも集客が期待できなかったであろうことを思うとなお興味深い。

 初週は月曜日がバレンタインデー&プレジデントデーだったため興行の動きが読みづらかったが、まずは『嵐が丘』が勝利。週末3日間で3280万ドル、月曜日を含む4日間では3750万ドルと、予想にはやや届かなかったものの逃げ切った。また、『GOAT』は3日間で2720万ドル、4日間では3511万ドルと予想を上回って『嵐が丘』に迫った。

 そして、公開2週目となった2月20~22日はランキングの順位が逆転。第1位を『GOAT』が獲得し、『嵐が丘』は首位を譲る形となった。

 『GOAT』の週末興収は1700万ドルで、前週比わずかマイナス37.5%という健闘ぶり。観客の評価が高いこと、ファミリー層の需要が大きいことから口コミ効果もあったのだろう、北米興収は5830万ドルとなったほか、全世界興行収入も1億ドルを突破した。

 フランチャイズ作品でないオリジナル脚本のアニメーション映画は集客に苦戦しやすいが、ディズニー映画『ズートピア2』(2025年)や実写版『リロ&スティッチ』(2025年)のほか、『ウィキッド』2部作や『マインクラフト/ザ・ムービー』(2025年)など、家族で観られる映画が劇場を盛り上げる傾向は継続中。本作もその流れを汲んでいることは確かだろう。

 もっとも、第2位となった『嵐が丘』も好調だ。週末興収は1420万ドルで、前週比マイナス56.7%という下落率は小さくはないものの予想の範疇に収まっている。北米興収は6001万ドルだが、注目すべきは海外市場である。海外77市場の累計興収は9170万ドルで、全世界興行収入は1億5171万ドルという驚くべき成績となった。

 製作費は8000万ドル。R指定の大人向けラブストーリーはしばらく劇場興行で成功しづらい状況が続いていたが、ワーナー・ブラザースは本作を女性や若年層に力強くアピールし、これが奏功した。まさか『嵐が丘』の映画版がこれほどのヒットとなるとは、いささか意外にも思われるが、苛烈な社会状況におけるまっすぐで情熱的な恋愛を描いた本作は、現代にずばりフィットする映画だったとも言えそうだ。日本公開は2月27日。

 第3位には、音楽伝記映画『アイ・キャン・オンリー・イマジン 明日へつなぐ歌』(2018年)の続編『I Can Only Imagine 2(原題)』が初登場。史上最も売れたクリスチャンソングである同名楽曲を手がけたバート・ミラードの半生を描いたキリスト教映画で、週末興収は800万ドルとなった。

 大ヒットを記録した前作はオープニング興行収入1710万ドルだったから、8年越しの続編ながら、初動成績は前回の半分以下。もっとも製作費は1800万ドルだから、長い目で見れば回収は十分可能だろう。宗教映画では珍しくないことだが、Rotten Tomatoesでは批評家スコア62%に対し、観客スコアは99%。映画館の出口調査に基づくCinemaScoreでは最高評価の「A+」となっている。

 第6位には、『ランニング・マン』が今まさに日本公開中のグレン・パウエル主演、A24製作のブラックコメディ『How to Make a Killing(原題)』がランクイン。北米1600館という中規模興行で、週末興収は356万ドルと控えめな滑り出しとなった。

 本作は富豪の家に生まれた男が、280億ドルの遺産を手に入れるべく、手段を選ばず動き出す物語。監督・脚本は『エミリー・ザ・クリミナル』(2022年)のジョン・パットン・フォードが務め、マーガレット・クアリーやエド・ハリスらが共演した。

 『トップガン マーヴェリック』(2022年)でブレイクして以降、『ヒットマン』(2023年)や『恋するプリテンダー』(2023年)、『ツイスターズ』(2024年)などコンスタントに出演作を重ねているパウエルだが、作品への評価には波がある。本作はRotten Tomatoesで批評家スコア48%だが、観客スコアは78%とまずまずだ。日本公開は未定。

 第7位には、エルヴィス・プレスリーのコンサート映画『EPiC: Elvis Presley in Concert(原題)』が初登場。伝記映画『エルヴィス』(2022年)のバズ・ラーマン監督が、同作の製作中に発見した未公開映像60時間を復元し、パフォーマンス映像や舞台裏の姿を蘇らせた。

 北米ではIMAXシアター325館のみでまず上映され、週末興収325万ドルを記録。1館あたりの平均興収は1万ドルという好成績だ。次の週末にはIMAX以外での拡大上映も予定されている。また、日本でも5月に公開予定で、北米と同じくIMAXでの先行上映も行われるという。

 なお、今年の北米映画業界は度重なる寒波や吹雪の影響を受けており、これがなければ興行収入はより好転していたとみられる。それでも現時点での年間累計興収は10億5000万ドルだから、前年比プラス7%とひとまず好調。今後はディズニー&ピクサー『私がビーバーになる時』や、ベストセラー小説の映画版『プロジェクト・ヘイル・メアリー』、そして『ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー』などの話題作も待機している。

【北米映画興行ランキング(2月20日~2月22日)】1.『GOAT(原題)』(↑前週2位)1700万ドル(-37.5%)/3863館/累計5830万ドル/2週/ソニー

2.『嵐が丘』(↓前週1位)1420万ドル(-56.7%)/3682館/累計6001万ドル/2週/ワーナー

3.『I Can Only Imagine 2(原題)』(初登場)800万ドル/3105館/累計800万ドル/1週/ライオンズゲート

4.『クライム101』(↓前週3位)577万ドル(-59.5%)/3161館/累計2470万ドル/2週/Amazon·MGM

5.『HELP/復讐島』(↓前週4位)450万ドル(-49.4%)/2800館(-175館)/累計5552万ドル/4週/20世紀スタジオ

6.『How to Make a Killing(原題)』(初登場)356万ドル/1625館/累計356万ドル/1週/A24

7.『EPiC: Elvis Presley in Concert(原題)』(初登場)325万ドル/325館/累計325万ドル/1週/NEON

8.『Solo Mio(原題)』(↓前週5位)255万ドル(-59.9%)/2300館(-700館)/累計2182万ドル/3週/Angel Studio

9.『ズートピア2』(↓前週6位)230万ドル(-39.7%)/1820館(-380館)/累計4億2392万ドル/13週/ディズニー

10.『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』(↓前週8位)180万ドル(-48.7%)/1335館(-315館)/累計3億9944万ドル/10週/20世紀スタジオ

(※Box Office Mojo、Deadline調べ。データは2026年2月23日未明時点の速報値であり、最終確定値とは誤差が生じることがあります)

【参照】https://www.boxofficemojo.com/weekend/2026W08/https://variety.com/2026/film/box-office/box-office-goat-beats-wuthering-heights-quiet-weekend-1236669470/https://variety.com/2026/film/box-office/box-office-wuthering-heights-goat-milestones-globally-1236669645/https://www.hollywoodreporter.com/movies/movie-news/goat-box-office-wuthering-heights-1236511466/https://deadline.com/2026/02/box-office-i-can-only-imagine-2-goat-wuthering-heights-1236730748/

(文=稲垣貴俊)