物価高な今、毎月の家計管理が負担になっている方も多いのではないでしょうか。金融機関での勤務経験があり、FP1級の資格をもつ松尾千尋さんは、細かくつけていた家計簿を手放したそう。「やめたことで、不思議と前よりお金が貯まるようになったんです」と語る松尾さんに、数字を追うよりも大切にしているお金の習慣について伺いました。

物価高の今「支出だけ」を気にするのはやめた

家計簿をやめたのは、物価が大きく動くようになったからです。インフレの時期は、生活費が上がるのは当たり前。金額だけを記録しても意味がないのに、「今月は支出が増えた…」と落ち込むことに違和感がありました。

【写真】家計簿の代わりのノート

数字を記録するより「なにをどう改善すればいいのか」を見つけることが大切だと考え、細かく記録することをやめました。

月1回の「資産の増減チェック」

家計簿の代わりにやっているのは、月に一度、資産の増減を確認すること。文庫本サイズのノートに、預金や投資商品、貯めたポイントの残高、保険の解約返戻金などの資産をすべて書き出しています。

これらを合計し「先月より増えたか減ったか」だけを見るのです。減った場合も、「支出が多かったのか」「運用がマイナスだったのか」をチェックし、淡々と状況を捉えるだけ。

大きな流れさえ見えていれば十分と考えているので、ストレスがありません。また、このタイミングで投資信託の積立額の変更を考えることもあります。

固定費の見直しが自然な節約に

一度整えてしまえば、あとは勝手に節約効果が出るのが、「固定費の最適化」。通信費・光熱費は、プラン変更で大きく変わることがあります。

生活スタイルによって最適解が変わりますし、新プランが出ることもあるので、年に2回ほどチェックします。

夫婦で行う「お金の振り返り会議」

もっとも大切な習慣が、月に一度の「お金の振り返り会議」です。私は夫婦ふたり暮らしなので、夫と30分ほど時間をとり、お金の使い方についてレビューし合います。

話すのは「どれだけ使ったか」ではなく、そのお金でどれだけ満足できたかどうか。外食・旅行・交際費・嗜好品を中心に話し合います。たとえば「この外食は高かったけど、おいしかったし楽しかったよね」とか、「これは高い割に、個人的にはいまいちだった」と、費用対効果の感覚を育てるんです。

この「満足感のレビュー」が、次にお金を使うときの指標になり、ムダ遣いが減るようになりました。

大事なのは「使った金額」より「満足感」

お金の価値は上がったり下がったりするもの。大切なのは、お金という数字を軸にして記録することや支出を削ることではなく、自分なりの軸をもったお金の使い方を考えることではないでしょうか。

「安いから」と妥協して買ったものに満足できず、買い直してしまう失敗もありますし、小さな我慢を積み重ねると、そのストレスがあるときドーンと大きなムダ遣いにつながることもあると感じています。

一方で、多少高くてもおいしい食材を買って自炊したら、意外と外食より満足できて、結果として節約になることも。

今の家計管理法に変えたことでお金の使い方のクセが抜け、自然と支出が最適化されていった気がします。