AFX通信によると、ECB(欧州中銀)のトリシェ総裁は7日、定例理事会後の記者会見で、主要政策金利である短期買いオペ金利を3.50%に引き上げた後に発表した声明文の中で、「非常に注意深く(インフレリスクを)監視する」という文言が使われ、市場で来年2月の利上げ観測が高まっていることについて、「誤った解釈になる可能性もある」と述べた。これは、ECBは、新しい経済データを見極めながら、今後の利上げのタイミングを慎重に判断する可能性を示唆したものとみられる。

  今回の声明文の中で用いられている「very closely(非常に注意深く)」という文言は、これまでも利上げの2カ月前に使用されている。また、ECBが今年後半から2カ月に1度のペースで利上げを実施していることも、来年2月の利上げ説を後押しする要因になっている。その一方で、トリシェ総裁は、ユーロ圏経済が、ECBの見通しと一致する回復を続けた場合、「金融緩和を一段と取り除く必要がある」とのこれまでの表現を削除しており、市場では、利上げがピークに達した可能性があるとの見方も出ている。

  さらに、トリシェ総裁は、最近のユーロ高について、「為替相場の行き過ぎた変動や無秩序な動きは、経済成長にとって望ましくない」と述べ、シンガポールで先に開催されたG7(7カ国財務相・中央銀行総裁会議)の声明内容を繰り返したものの、ユーロ圏の経済成長に対するリスクとして、現在のユーロ高に言及しなかった。一段の円安については、日本経済の底堅さを反映すべきとの従来の発言を繰り返している。【了】

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