4回、3ランを放ち、タッチを交わす牧(撮影・飯室逸平)

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 「SMBC日本シリーズ2024、ソフトバンク0−7DeNA」(31日、みずほペイペイドーム)

 「SMBC日本シリーズ2024」は31日、みずほペイペイドームで第5戦が行われ、DeNAが7−0で勝利。3連勝で、26年ぶり3度目の日本一に王手をかけた。1点リードの四回に、牧秀悟内野手(26)が自身日本シリーズ初本塁打となる3ランで勝利を導いた。過去、ホームでの連敗からビジターで3連勝したケースは、日本一確率100%。横浜で歓喜の勝利をつかみ取る。

 真っ青に染まる敵地の左翼席へ、白球が勢いよく吸い込まれていく。牧は雄たけびを上げ、跳びはねてガッツポーズ。感情を抑えることができない。「ホームランを打ったことよりも、得点が入ることがうれしくて」。みんなで横浜へ帰ろう。一丸野球で、王手だ。

 ここで勢いを落とすわけにはいかない。勝利を大きく手繰り寄せたのは四回。無死一、二塁から高めにきた直球をフルスイングで捉え、スタンドインの瞬間は感情が爆発した。待望の日本シリーズ1号3ランだ。この打席までは打率・167と力を発揮できていなかったが、ケガで戦列を離れている伊藤光から助言をもらい、ベンチ外の知野には映像を見た印象を聞き浮上のヒントを得た。

 今季から主将としてチームをけん引。下克上の始まりとなったCSファーストSでは前日に「できることを100%やろう。いまさらできないことをやろうとしても無理だから」と声を出した。一転、ファイナルS前は「もうみんなのモチベーションが上がっていたので。必要なかった」と高まる雰囲気を感じ取った。

 目指すのは、レギュラーシーズン最低勝率・507から成し遂げる史上最大の下克上完結だ。初めての日本シリーズは緊張からか、いきなりの連敗発進となった。27日の敗戦後には選手だけで緊急ミーティング。牧が音頭を取った。「経験している人からのアドバイスを聞きながらやりたかった」。桑原が熱いゲキを飛ばし、第3戦の練習前には宮崎、筒香らも経験を共有。士気を高めた。

 敵地3連勝で勢いは増し、日本一へ王手をかけた。日本一確率100%で挑む本拠地最終決戦へ。「油断できない。今できている野球をホームでもできたらいい」。牧が背中で、プレーで語りかける。一気に行くぞ−と。