横山幾夫安芸市長(左から2人目)ら安芸市関係者から花束を贈られた阪神・粟井一夫球団社長(右から2人目)と藤川球児監督(中央)(カメラ・谷口 健二)

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 阪神・藤川球児監督(44)が10月31日、1日から17日間行う高知・安芸での秋季キャンプのテーマに「没頭」を掲げ、やる気のない選手の“強制送還”も辞さない構えを見せた。穏やかな表情とは裏腹に、移動前の伊丹空港ロビーで強烈なフレーズが口を突いた。

 「うまく取り組めないような選手は、平田2軍監督も『いつでも(2軍の残留組に)帰してくれ』と。僕もコーチに『首根っこをつかまえて、気持ちがない選手をなんとかしろ』と正直、言う気はない。プロである以上は」

 過去に例を見ない秋季キャンプ中の強制帰阪の発動―。厳しい発言に至った理由は明確だ。チーム宿舎のミーティングで伝えたテーマは「没頭」だった。

 「17日間の短い期間だけど、次の春までという意味ではものすごく大事。そう捉えてもらうために、自分も含めて『没頭』をテーマにやろうかな、と」

 限られた時間をいかに無駄にしないか。質と量。各部門のコーチに練習メニューを任せるが、「一心不乱に。周りが見えなくなるくらいの集中力を持って。気が遠くなるまでの練習を実は(成功した選手は)みんなやってきている」。自身も実体験を持つからこそ、没頭できる時期に姿勢で示さない選手に構う暇はない。

 求めるのは主体性。うまくなりたい、やる気に満ちた集団だ。「やった人間しか勝ち上がっていない」。00年以降の秋季キャンプでは最多39人を連れて行くなか、全員が生き残れるか。闘志なき者は去れ―。没頭の秋が球児阪神を強くする。(小松 真也)