Maki Shiraki

[東京 25日 ロイター] - 信越化学工業の斉藤恭彦社長は25日の2024年4━9月期連結決算の電話会見で、25年3月期通期の営業利益予想を据え置いたことについて、為替の変動も大きく、先行きを「慎重に見なければならない」と理由を述べた。同時に「(上方修正に向け)業績の伸長を図るべく取り組む」とも語った。

通期の営業利益予想は、従来通りの前年比4.8%増の7350億円。IBESがまとめたアナリスト21人の予測平均値7772億円を下回っている。

4━9月期の連結営業利益は前年同期比6.2%増の4057億円。シリコンウエハーなど半導体関連材料を含む電子材料事業が21.1%増だった。通期利益に対する4━9月期の進捗率は55%。

主力事業の半導体関連材料について、斉藤社長は「市場の復調は一様ではなく品種や用途ごと、客先ごとに異なる。ウエハーの需要は口径や客先のウエハー在庫水準により時期のずれがあるものの、回復は時間の問題であることに変わらない」と話した。利益をけん引した「露光材料の発注は引き続き順調」と指摘。「半導体材料の需要回復と技術進化による数量増を取り込んでいく」とも語った。

会見に同席した半導体事業担当の轟正彦専務は「10─12月期はユーザーがウェハーの在庫調整を少し強める」との見方を示した。

塩化ビニルなど生活環境基盤材料事業の営業利益は同7.9%減だった。北米の塩化ビニル事業について、斉藤社長は「金融緩和によって来年以降、住宅需要が上向く動向が見えてきた」と説明し、「北米以外では中国からの輸出が止まらず需給が緩む中、市況は思わしくないが、値段の良いところで販売を確保していく」とした。

*会社発表の決算要旨は以下でご覧いただけます。https://www.release.tdnet.info/inbs/140120241023501677.pdf