海外のレースで騎手のとった行動が話題になっている(写真はイメージです)

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オーストラリアのG3レースで発生したアクシデント

 海外競馬で落馬した騎手がとった馬への思いやりにあふれた行動が話題になっている。19日にオーストラリアで行われたレースで、1頭の馬が勝負どころで転倒。必死にコース上でもがく馬を騎手が“救出”したという出来事を海外メディアが伝えている。

 19日にオーストラリアのロイヤルランドウィック競馬場で行われたG3シドニーステークス(芝1200メートル、18頭立て)。各馬、スタートから一斉に飛び出し、勝負どころの4コーナーに差し掛かったところでアクシデントが発生した。馬群の外を回ったシンクアバウトイット(騙6)は急に歩様が乱れ、ズルズルと後退。ふらつきながら直線の入り口で急に倒れ、鞍上のジェイソン・コレット騎手を振り落としてしまった。

 コース上に激しく叩きつけられたコレット騎手だったが、目の前でシンクアバウトイットが苦しそうにもがき、3本の脚をバタバタさせているのを見ると、すぐに馬のそばに駆け寄った。動いていなかった1本の脚をすぐにつかみ、暴れないようにその場で落ち着かせた。

 英紙「デイリー・メール」は「勇敢な騎手はいかにして馬を死から救う奇跡を起こしたか 恐ろしい落馬の直後に彼が真っ先に考えたことは、その人となりを物語る」との見出しで当時の様子を報道。「勇敢なジョッキー、ジェイソン・コレットが、週末にシドニーのロイヤルランドウィック競馬場のレース中に起きた馬の卒倒事故で見せた勇敢かつ、思いやりある行動を称賛されている」と記した。

 本文では「33歳のコレットは、ショッキングな卒倒の後、真っ先に頭をよぎったことについて明かした。6歳騙馬シンクアバウトイットがコース上で苦しんでいるのを見ると、すぐさま助けに駆け寄った」「アクシデントは土曜日のシドニーステークスで起きた。レース中に肺出血を起こしたとみられる」とコレット騎手の行動を説明した。

 さらに「落馬後、コレットは真っ先に考えたのがシンクアバウトイットを落ち着かせ、立ち上がるのを抑えることだったと明かした」とし、コレット騎手の談話を紹介。「馬の方を見て、脚に何かあったのではないかと心配になり、押さえつけにいった。もし3本の脚で走ってしまうと非常に危ない。この先長く生きられるとは思えなかった。普通、あの状態では生き延びられない。なぜ彼が助かったのかわからないが、生き延びてくれてうれしいよ」と無理に走り出すことを防いだことを振り返り、安堵した。

 おかげで「しばらくコースにとどまった後、シンクアバウトイットは自身の脚で立ち上がり、ボックスへと戻り、そこで獣医の診察を受けた」と命に別状はなかった模様。予後不良にはならなかったものの、管理するジョセフ・プライド調教師はすぐにシンクアバウトイットの現役引退を決断したという。

(THE ANSWER編集部)