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マッチングアプリで知り合った女性に結婚を約束し、3650万円をだまし取ったとして男2人が逮捕されました。複数の女性が同様の被害を訴えていて、被害を受けた1人は私たちの取材に「巧妙な演技だった」と悪質な手口を証言しました。

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街の人に聞きました。

──マッチングアプリ、使ったことはありますか?

大学生(20代)
「昔使っていました。いま付き合ってる彼女と出会えました」

会社員(26)
「前やっていて、今はそれで出会った人とお付き合いしています」「(周りは)ほとんどやっていますね。お付き合いして、結婚って人もいます」

広がりを見せる、マッチングアプリ。いま、40歳未満の既婚者の4人に1人がマッチングアプリでの出会いをきっかけに結婚しているなか、22日、マッチングアプリで知り合った女性から金をだまし取ったとして、名古屋市に住む無職の江尻舟一容疑者(51)と、武田佑氣容疑者(32)が逮捕されました。2人は、47歳の女性に対し、結婚を約束して信用させ、現金3650万円をだまし取った疑いがもたれています。

どんな手口を使ったのでしょうか。2人から同様の被害にあったと訴える別の女性は、容疑者らの巧妙な演技があったと話します。

被害を訴える女性(40代)
「『愛してる』とか『早く一緒になろうね』という言葉が多かったですね。紳士的だったし、話し方も上手だったので嫌な感じはなかった」

3年前、マッチングアプリをきっかけに江尻容疑者と出会い、交際していたという女性。江尻容疑者は自らを「黒瀬舟(くろせ・しゅう)」と名乗り、社長と偽っていたといいます。

江尻容疑者からのメッセージには「記念日 心から出会ってくれてありがとう 俺も世界一愛してる」などと書かれていました。江尻容疑者は会うたびに女性にアクセサリーや豪華な花をプレゼントし、高級料理をごちそうするなど羽振りが良かったといいます。ところが、順調に交際が進んでいたある日、あるトラブルが…。

被害を訴える女性(40代)
「運転手が江尻がお財布持ってないことに気づいて、慌ててトイレに向かっていく」

財布をなくしたことに気づき捜しに行ったのは、江尻容疑者の“運転手”だったという男。同じく詐欺の疑いで逮捕された武田容疑者(32)です。ここから、社長と秘書にふんした2人の巧妙な演技が始まったといいます。

被害を訴える女性(40代)
「次の日の取引先に支払うための印鑑・通帳・身分証明書が全部入っているからどうしようみたいな」

江尻容疑者は慌てるそぶりを見せたかと思えば、すぐに対応を指示。

被害を訴える女性(40代)
「いまから取引先に電話して、お前は専務に電話しろって。そのやり方がうまくて、本当に大変なんだっていうのを、そばで見ているので…」

この話を信じた女性は翌日、400万円を江尻容疑者に手渡したといいます。実は、彼女は6年前に、交通事故にあい、障害があるそうです。それを受け入れてくれた江尻容疑者を信頼しての行動でした。

被害を訴える女性(40代)
「(障害を)知ってて受け入れてくれた人、って思っていたので、それでも結婚してくれると言ってくれたのでうれしくて」

その後も理由をつけて、女性に2回金銭を要求したという江尻容疑者。

被害を訴える女性(40代)
「(渡した総額は)2700万円です。結婚式場の予約もしていこう、という話を最後にもう会ってないですね。頭が真っ白になって、結局お金がないと家族にも迷惑がかかるので、どうしようと、本当にそれだけです」

結婚できると信じていた女性は、預金をすべて失いました。

女性たちの恋愛感情を利用した“結婚詐欺”の手口。押収された江尻容疑者の手帳には、複数の女性たちの「特徴」が細かく書かれているページがあり、今年3月のスケジュールには「記念日(1年5か月)」「記念日(1年9か月)」などと、1か月の間に記念日が17回もありました。

一方、武田容疑者はSNSで、47歳の女性に対し…

武田佑氣容疑者(32)
「社長は断じて詐欺まがいなことをする方ではありません。どうか社長を信じてください」

江尻容疑者のことを信用させようとしていたとみられています。

警察は、2人の認否を明らかにしていませんが、複数の女性が同様の被害を訴えていて、被害総額は1億円を超えるとみて調べています。

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だまされないために私たちにできることは…? “結婚詐欺”に詳しい弁護士に聞きました。

大町怜央フィールドキャスター
マッチングアプリ詐欺だと見分けるポイントは?」

弁護士法人・若井綜合法律事務所 小師健志弁護士
「一つは、話が早く進みすぎる。もう一つは、お金の話が結婚する前に出てくる。困っている状態を出してくるので、そこが気をつけるところ」

大町キャスター
「信用しようとしている人を疑うのも勇気がいることだと思うのですが?」

弁護士法人・若井綜合法律事務所 小師健志弁護士
「その人を直接疑うのではなくて、周りの人に相談いただければなと。第三者じゃないとなかなか気づけない。そういった冷静な意見をいただける機会につながるので」

(10月22日放送『news zero』より)