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どさんこ総選挙、今回は争点のひとつになっている「選択的夫婦別姓」です。

旧姓のまま結婚したいと事実婚を選んだ札幌市のカップルが21日、1回目の裁判に臨みました。

2人が制度の導入を求める思いとはー

(原告・佐藤万奈さん)「選択的夫婦別姓があったら、そもそも結婚を嬉しいと思えたし」

(原告・西清孝さん)「選択肢が増えるだけの法改正であって、不幸になる人はもちろん誰もいない」

こう話すのは、札幌市の佐藤万奈さんと西清孝さんです。

2人は2024年3月、夫婦別姓が認められないのは「婚姻の自由」を定めた憲法に違反するとして国を相手に提訴。

21日に1回目の裁判が開かれましたが、国は争う姿勢を示しました。

職場の同僚だった2人は2019年に結婚。

佐藤さんは夫の求めもあって名字を「西」に変えました。

しかしー

(佐藤万奈さん)「“西万奈”だとそれは彼の名字であって、私の名字ではないなって。改姓することに違和感を感じて。(職場の)直属の上司が、私が旧姓で働きたいって気持ちが分からなかったみたいで、「きみはもう西だろ」「どうして旧姓にこだわる」って言われて」

佐藤さんは、自分らしさを失うことへの恐怖や喪失感から体調を崩し「適応障害」と診断されました。

結婚からわずか9か月、2人が出した答えは、いわゆる事実婚になる“ペーパー離婚”。

つまり、夫婦別姓という道を選択したのです。

今回の選挙でも争点のひとつになっている「選択的夫婦別姓」。

この制度をめぐっては「通称使用の拡大で問題は解決する」という考えもでています。

“通称使用”とは、結婚前の名字=旧姓を通称として使用できる範囲を法律上広げるという考え方。

現在もパスポートや運転免許証などには旧姓の併記が可能になっています。

しかし2人は、通称使用で自分らしさを取り戻せるわけではないと強く訴えます。

(原告・西清孝さん)「夫婦同姓にしたかった人が旧姓使用をする。名前を改姓したくないという人のニーズには全く応えられていないのが旧姓使用」

(原告・佐藤万奈さん)「私も改姓しました、嬉しいって思いたかったんですよ。でも嬉しいと思えなくて、思えなかったことはしょうがないじゃんって。私の楽しいはずだった時間を返してよって思った」

専門家は、国会での議論を加速させるためには、今後の司法の判決が重要になってくると指摘しています。

(早稲田大学 法学学術院 棚村政行名誉教授)「(選挙で)争点のひとつとなっていることは、家族の在り方ということに関心を持ち始めているので、司法が中立公正な立場で、人権を守るという視点で個人の思いや不自由さにどこまで寄り添えるかが問われている」

夫婦別姓も選べる社会へー

佐藤さんと西さんは今後も制度の導入に向けて訴え続けます。

選択的夫婦別姓の導入について各党の主張です。

多くの政党が導入に向けて前向きなスタンスをとる一方、反対や慎重といった党もあります。

この制度の導入をめぐっては、進めるべきとの意見がある一方、家族の在り方、伝統的な価値観を守るべきと保守層を中心に慎重な意見も根強く、今回の選挙を通じて議論が活発化するかが注目されます。