袴田巌さん(中央)と姉ひで子さん(右)に、謝罪する静岡県警の津田隆好本部長(左)(21日午前、浜松市で)=代表撮影

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 1966年の静岡県一家4人殺害事件で、袴田巌さん(88)の再審無罪が確定したことを受け、同県警の津田隆好本部長は21日、浜松市内で袴田さんに会い、謝罪した。

 津田本部長は同市内の袴田さん方を訪れ、袴田さんや姉ひで子さん(91)らと面会。「逮捕から無罪確定までの58年間の長きにわたり、言葉では言い尽くせないほどのご心労、ご負担をおかけし、申し訳ありませんでした」と謝った。

 これに対し、ひで子さんは「もう運命だと私も巌も思っていて、今更警察に苦情を言うつもりはありません」と返答した。

 無罪を言い渡した9月26日の静岡地裁判決は、袴田さんの有罪の根拠とされた血痕がついた「5点の衣類」などの証拠を「捜査機関による捏造(ねつぞう)」と断定した。

 検察側が今月9日、控訴する権利(上訴権)を放棄した。津田本部長は同日午前、報道陣の取材に応じた際、袴田さんに直接謝罪する意向を示していた。

 津田本部長は被害者夫婦の孫の男性に対しても、事件の真相解明ができなかったことを謝罪している。

 事件は66年6月、静岡県清水市(現・静岡市清水区)で発生した。強盗殺人罪などで起訴された袴田さんは公判で無罪を主張したが、80年に死刑が確定。2008年からの第2次再審請求で昨年3月、再審が行われることが決まった。